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2006年9月26日 (火)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第61回

 中国で魏呉蜀の三国が鼎立(ていりつ)している状況に変わりはありませんでしたけれど、何といっても華北の魏が威容を誇っていて、国際文化の華はその都洛陽(らくよう)に咲いていました。

 人員不足に悩む呉の孫権などは、遠征軍を海外に派遣して人狩りをするという噂でした。馬80頭も載せることのできる船を所有しているともいわれていました。

 そんな話が出た内輪の席で女王は、『おぞましくって、生理的な嫌悪感さえ覚えるのよ』とおっしゃったことがあり、女王らしからぬ乱れた激しい口吻が忘れられませんが、仮に女王があの時点で、イサエガの――呉との同盟を画策せんとする――本意をお知りになったとしても、戯言(ざれごと)としかお受け取りにならなかったでしょう。

 魏都洛陽に使者を送りたいという女王の悲願が成就するには、そのための通過障害となっている朝鮮半島の公孫氏が破られる日まで待たなければならなかったのでした。〔

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