昨日の夕飯はカフェで&コットンと『風と共に去りぬ』
昨日の夕飯は、娘とカフェで、とびっこあっさりカルボナーラ、玄米パン、カフェオレで済ませました。夫には、ウナギのお店で、ウナギ弁当を作って貰いました。
台風が来るということで、普段はベランダですくすく育っているコットンを室内に入れました。一昨日は花が咲いていたのですが、今は萎れています。
花が落ちたあとの実がふくらんで、中から白い綿がぽこんと飛び出すそうで、それを楽しみにしているところです。
コットンといえば、映画『風と共に去りぬ』の中で、南北戦争後の荒廃したタラの大地を耕して作った綿花畑の中で、きつい監督者のまなざしをしたスカーレットが妹たちを叱咤しながら、手籠に綿を次々に摘み取っていく場面が思い出されます。
スカーレット役のヴィヴィアン・リーと、『風と共に去りぬ』の原作者マーガレット・ミッチェルは、同じ蠍座です。どちらも魅力的で、また神経過敏であったようです。ヴィヴィアンの場合は、躁鬱病に悩まされました。
レッド・バトラーのモデルは、レッド・アップショーといういかつい顔をした、無法者、風来坊の雰囲気を持つミッチェルの初婚の男性だったといわれています。ジョン・マーシュという献身的な編集者と結婚した後も、アップショーに対するミッチェルの思いには、複雑なものがあったようです。
彼をモデルにしたということでゆすられるのではないかとか、暴力的行為に出られるのではないかという怯えにもつき纏われたようでした。そのアップショーは晩年弱って、ホテルの5階から落ちて死にます。事故死とも自殺とも定かでない死。
新聞の切抜きでその事実を知ったミッチェルは、「なんて恐ろしい死にざまだろう」と静かにいい、その日は一歩も部屋から出なかったと伝記には書かれています。
ミッチェルは自動車事故で死ぬのですが、死の数年前に友人に宛てた手紙の中で、「わたしは自動車事故で死ぬのではないかと思います。絶対にそう思えてならないのです」と書いています。
ところで、映画『風と共に去りぬ』の配役で、わたしがミスキャストだと思うのは、メラニー役のオリヴィア・デ・ハヴィランドです。スカーレットとは対照的であるべき、日本流にいえば大和撫子的女性を演ずるには不向きな感じがするのです。品性がもう一つという気がして、スカーレットとのコントラストに今一つ欠けるというか――。
最初は、オリヴィアの妹、ジョーン・フォンテインに話が行ったということですが、誇り高いジョーンは主役でないということで、それを断ったのでした。オリヴィアとジョーン姉妹の仲はよくなかったようです。
おそらく心(しん)は相当に強い女性なのでしょうが、ジョーンが「レベッカ」で見せた、純情で、しとやかで、穏やかな理智性の漂う、馨しい美しさがわたしには忘れられません。もしジョーンのメラニー役で映画化されていたなら、趣の異なる大輪の花が2輪咲き並んだような豪華さがあっただろうに……と残念です。
ヴィヴィアン演ずる青春期のスカーレットの一途さ、子供っぽさも、不必要に空回りせずに済み、女優として人間としてのヴィヴィアンの内面性はもっと多彩に引き出され、ジョーン演ずるメラニーの聖母的な柔和さとの対照から、ヴィヴィアン演ずる成熟したスカーレットの凄艶なまでの気品も一段と際立ったのではないだろうか、と想像されるのです。
ヴィヴィアン・リーと並び立つには、姉のオリビアはいささか役不足だとわたしには思えます。
そして、あれほどの女優であったヴィヴィアン・リーが、一番なりたかったシェイクスピア舞台女優としてはコンプレックスを持ち続けたというのも、何か贅沢な話であるような、人生の皮肉と芸術の厳しさを見せつけられるような感慨に囚われます。
記事を書いているあいだに、風雨が強まってきました。あなた様がお住まいの地域は如何ですか。台風被害に遭ってから、わたしは台風恐怖症気味です。
※この記事を書くにあたり、アン・エドワーズ『タラへの道 マーガレット・ミッチェルの生涯』(大久保康雄訳、文藝春秋)、アン・エドワーズ『ヴィヴィアン・リー』(清水俊二訳、文藝春秋)、『週刊20世紀シネマ館 №29』(講談社)を参考としました。
※コットン関連記事(カテゴリーにも「コットン」の項目があります)。
●8月19日付昨日の夕飯&コットンの花、惑星について
●9月5日付危うしコットン&下手な詩
●9月6日付うちのコットンはもやしっ子だそうです
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コメント
マダムNさん、こんばんは~
すっかりブログのサボり癖がついちゃったまるです。 (-^〇^-) ハハハハ
「風と共に去りぬ」いい歳して読んだ事無いんです。お恥ずかしい・・・・
マダムNさんは、さすがにたくさん本を読んでらっしゃるんですね~
私の愛読書は絵本なので・・・・知識が豊富にはなりませんね。
投稿: まる | 2006年8月18日 (金) 20:51
こんにちは。
はじめまして。
わたしも、ただいま、コットンを育てていまして、やっと、花が咲いたところです。
そして、ほかにもコットン育てている人はいないかなぁと思い検索して、こちらへやってきました。コットンと、「風と共に去りぬ」のお話。大変興味深いです。
もし、良ければ、ブログで紹介させていただいてもいいでしょうか?
どうぞ、よろしくお願いします。
投稿: ちぇぶっこ | 2006年8月30日 (水) 12:33
コットンのことはたまたま書いたという程度のことなので、恐縮しています。管理が面倒ということもあって、相互リンクなどはしないことにしているのですが、紹介ということであればどうぞ。嬉しいです。
投稿: マダムN | 2006年8月30日 (水) 23:09
マダムNさま
こちらの記事にて紹介させていただきました。
また、ご意見など、ございましたら、お気軽にどうぞ。
コットンはどんな感じですか?
コットンボールがはじけるの、楽しみです。
投稿: ちぇぶっこ | 2006年9月 5日 (火) 06:09
ご紹介の記事は、昨日ご訪問させていただいたときに拝見しました。素敵な紹介文ですね。たまたま、コメントをいただいたのと同じ頃、「危うし…コットン&下手な詩」という記事を公開したところでした。うちのコットンはベランダに出すと、なぜか弱ってしまいます。半日で葉が変色してくるのです。水のやりかたが悪いのだろうかと思ったりしましたが、室内に入れるとたちまち元気になるので、用心して今は室内に置いています。
投稿: マダムN | 2006年9月 5日 (火) 06:31
マダムNさま
ご訪問、ありがとうございます。
うちのコットンはかなりスパルタです。
なのでか、芽を出した4本中の1本しか残っていません。
もう一本は枯れないけれど、まったく成長しないのです!
不思議なものですよね。
ちなみに、うちのコットンは外の日当たりのわるーいところにおいています(><)
投稿: ちぇぶっこ | 2006年9月 7日 (木) 20:16