自己流の危険な断食の思い出
病気のために、外食や弁当に頼ることもしばしばですが、食事というものの重要さは、わたしなりにわかっているつもりです。というのも、大学生だったときに、自己流の断食を試みたことがあるからで、その体験を通して身に沁みてわかったことがあったのでした。
ただ、自己流の断食については、それがどんなに危険で愚かしい試みであったかは、その後神智学と出合って知ったことでした。今であれば、まあ常識でわかるはずのことですけれど。
文芸部の仲間も、寮の友人も、半ば面白がって、声援を送ってきました。まる4日しか続きませんでしたが、水もほとんどとらず、いきなり食を断った……そのことの危険さは、わたしもまわりの若い人間も知りませんでした。
わたしは若さに任せて、よく物語の中で聖者がするような断食というものを、やってみたくなったというわけでした。
その断食の記録は大事にとっていたはずですが、長いあいだにどこかへ行ってしまいました。覚えているのは、たった4日の断食でおなかがぺったんこになったということ、水もほとんど飲まないようにしたせいか、無茶な断食が吐き気との闘いであったということです。仕方なく、とまらない吐き気をとめるときだけ水を飲むようにしました。
異様に軽く感じられる体で、授業にはしっかり出ました。普段は平気でさぼったりした癖に、なぜ律儀に出たかというと、人間から食べるという習慣を取り除くと、時間がたとえようもなくゆるやかに流れ出すようになり、めりはりがなくなって、広大な沙漠を歩いているような不安に駆られるのです。授業にでも出なければ、やりきれませんでした。
たったの4日間がひと月にも感じられました。断食をして一番つらかったのが、この時間の感覚の変化でした。時間というものは、意識のありようによって、いくらでも伸び縮みして感じられるものなのですね。食事というものが、ともかく人間の生活にリズムを与えることは確かです。
体の中に食べ物を入れなくなると、自分が空気を吸い吐いて生きている、つまり空気を食べ排泄しているということがクローズアップされてきました。普段宇宙などというものは意識の外にあったけれど、自分は宇宙の一部を食べ排泄している宇宙の子供なのだと感じました。
そこから発展した感じかたとして、飛躍した表現になりますが、この世に自分と無関係なことなど何もなく、全てが連帯責任関係にあるのだとしみじみ感じられました。3日目があるポイント地点だったのか、自分がきらめきわたる宇宙の只中を漂っているような高揚する感覚が訪れました。
が、一転して、沙漠を歩いているような、そこで野垂れ死にしてしまうような、とてつもない空虚感と疲労感に襲われたりしました。そのうち、死臭かと思うような嫌な臭いがどこからともなく漂ってくるような感じさえしました。さすがに自分でも危険だと感じ、断食を中止しましたが、無知な仲間や友人は「なーんだ、たった4日しか続かなかったの?」とつまらなさそうにしましたっけ。
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