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2006年8月 5日 (土)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第45回

 それから、琴の稽古。そして、わたしにとっては一からの歌舞の稽古が始まりました。他に、月読みや仙薬に関する授業もありましたから、わたしの一日は大変な忙しさでしたけれども、どういうわけか、わたしの眠気はかえってとれてしまったのでした。

 望みに叶った意味のある暮らしをしているという思いが、わたしにとりついていた睡魔を払ったとも思えますが、あるいは、ここでの滋養に富んだ食事、山の幸、海の幸のおかげでもあったことでしょう。

 食事といえば、女王は、祭事の期間は少しのお神酒(みき)を口になさるだけで絶食なさいますが、普段は少量ながら、けものでも魚でも食され、食事の回数は常人とは異なる、日に1度のことでした。

 女王は、内輪のくつろいだ席では、かなりの量の美酒をきこし召すこともおありになるようで、このことはわたしには意外でした。

 後に、女王のお側近く出入りする身分となってからの話ですが、わたしは女王がきこし召したあまり、嘔吐なさる姿を眼にし、仰天したことがあります。

 お背をさするわたしに、荘厳なまでに美しい銀髪の頭の下から、「これしか、楽しみがなくって……」などと、はにかんだような弱々しい声でおっしゃるのでした。

 そういう次第で、側近のあいだでは「女王は酒豪である」というのが定説となっていましたが、こうしたことは一般の官女の知らない話でした。〔

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