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2006年7月13日 (木)

循環器クリニックに薬を貰いに行く。整形外科受診。同人誌のこと。

 ココログのメンテナンスがあっているあいだに、同人誌が届いた。痩せさらばえていっていたはずの同人誌は、今や色艶もよく太っている。

 何しろ318頁もあり、メンバーは30人である。外観はこうだが、恰幅がいいといえるものか肥満といえるものかは、内容を吟味してみなければわからない。

 嬉しかったのは、K文学賞の授賞式で2度顔を合わせたことのあるKくん(と親しいわけでもないのに、1つ年下の彼を呼んでしまう)が同人となり、彼の作品が小説群のトップを飾っていることだった。

 前に、賞仲間のあいだからは友情といえるものは育たなかったと書いたが、唯一彼とは友人になれそうな感じがした。何より、作風に共感できるのだ。

 彼の作品はテーマ性が鮮明で、それは哲学性を感じさせる奥深いものだ。描写力があり、筆遣いは際立って美しい。あえて物足りないところを挙げるとするなら、ユーモアのセンスが欠けているところと登場人物がややステレオタイプであるところだろう。

 友情に男も女もないと思っているので、わたしは彼に無遠慮に話しかけ、同人誌を送って加入を誘いかけたが、控えめな礼儀正しい否かなと思える返事があるだけだったので、友情の夢も、同人同士として切磋琢磨する夢も、忘れかけていたところだった。

 主幹はどうやってKくんを口説き落としたのだろう、わたしを勧誘したときのように、いささか強引に作品を載っけてしまったのだろうか――と不思議に思った。

 いずれにしても、今の日本のあざとい作品が跋扈する文学界では、秀逸な彼の作品さえなかなか日の目を見られず、地区受賞した作品はともかく、他の彼の作品が保存されないまま消えることを心配していたわたしとしては、ホッとした。

 会費の払い込みの件で主幹宅に電話すると、主幹はすぐにKくんのことに触れてきた。

「あなたの意向に従って、彼を入れましたよ! 彼は今度K文学賞で地区の次席でしたから、授賞式で会ったときに、『Nさんがあなたにぜひ入ってほしいといっておられましたよ』といいました。あなたの名を出したら、彼は即座に入るといいましたな」

 またまた嘘ばっかり。主幹はK文学賞の地区選考委員だ。「ああら、そうですか。主幹の人間的な魅力に彼、参ったんじゃありませんか!」と返したが、どうして彼が入る気になったのか、心境の変化はぜひ知りたいところだ。

 主幹とはこんな風に電話で話すが、お眼にかかったことはないのだ。電話を通して互いに勝手なイメージづくりをしていることだろうから、実際に会えばどちらも驚くかもしれない。

 合評会には出席するつもりだが、午前10時半から昼食を挟んで午後4時半までの長丁場に、わたしの体力が悲鳴をあげないかどうかが心配だ。合評会のあとは懇親会があり、それにも出席する予定だが、大丈夫だろうか。

 同人誌の発行人が呼吸器科のお医者さんなので心強いが、そんな場で迷惑をかけるわけにはいかない。合評会のある23日までに、体調を整えなくてはならない。作品群も読み込まなくてはならない。それまでは、ちょっと忙しい。

                  ☆

 メンテナンスのあいだも、体調は揺らいでいた。循環器科に出かけたところ、先生は緊急手術中で受診できなかった。膀胱炎っぽいことを看護師さんに話すと、尿検査をしてくれた。コップにとるまでわからなかったが、血尿が出ていて、コップをとりに来た看護師さんも「あ……」と驚きの声をあげた。自分の尿を目の前で見られるのは、恥ずかしい。体温計を渡されて測ると、熱もあった。

 先生は手術をしながら指示を出してくださり、薬を貰って帰宅した。そして今日は、整形外科の受診日だった。先生は、わたしの肩は重症だという。初診のとき先生は、「左肩はかなり石炭化していると思う」といわれたが、五十肩の人は皆そうなのだと思っていた。「手術する場合もある」といわれたのは、一般論だと思っていた。

 とにかくもう2ケ月同じ調子でリハビリに励むことになった。先生が予定していた新しいメニューには進めなかったが、今やっているメニューに補助的なメニューが追加された。これからはトイレに行くときだけではなく、風呂に入ったときもストレッチに励むことになる。

 ホームページを閲覧したところ、先生はこの方面の専門医で、手術も手がけておられるようだ。多くの症例を見てきておられるだろうから、もしストレッチの効果がなく、手術をすすめられるようなことにでもなれば、受けないわけにはいかないだろう。

 そうならないように、本気で頑張らなければならない2ケ月となった。 

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