「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第39回
白い装束の上に紫の衣をうち着たその人こそ、母の葬儀の日に、わたしに木の実をくれた女の人でした……! 冷たいまでの紫の衣に薪の火があかあかと紅葉のように映え、その姿は雅やかさの極みでした。
そして、数々の月神への捧げものの中でも最上の捧げものは、女王の清爽の気みなぎる祝詞とこの女人の舞であったと思います。天来の舞とは、このような、さす手引く手に籠もった、えもいわれぬ気をいうのでしょうか。
玉を得たような舞の花姿――、白妙の衣の、その姿かかりの幽玄な美しさに、見物する老若男女、感に入り、言葉もありませんでした。〔続〕
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