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2006年6月20日 (火)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第8回

「叔母さん。女の人は誰でも、お嫁に行って、旦那様に仕え、子を産んで、顔に皺を増やして、目脂(やに)を溜めた老婆になって、そして死んでゆかなきゃならない?  どうしたって、お嫁に行かなきゃならない?」

「マナちゃん」と叔母は、痩せた顔の中の笑いを知らない、しかし理解力を秘めた2つの小さな眼をわたしに据え、「あなたをきちんと嫁がせることができなくて、どうして死んだ姉さんに言い訳がたつの?」と、問い返すのでした。

「海の彼方の大国では――ああ、あなたはまだ海を見たことがないんだったわねえ――あの漢(※後漢)王朝が2年前に滅んでしまうということに相成ったことだけれど、その漢王朝がまだ続いていた頃の、桓(かん)帝、霊帝の御代(みよ)に、あたしどもの国ではね、クニグニのあいだでそれは恐ろしい戦が続いたそうなの。

 そんな中で、クニグニの首長たちは、ただ1人のおとめを頭(かしら)として共に立て、以来、おとめは頭の中の頭、あたしどもの国が誇る女王様なのです。

 15歳の若さで女王様になるなんてことは、容易なことではなかったでしょうよ。あなたぐらいの年の頃には、既にそれなりの実績がおありだったっていいますからね。ふわふわしたことで、どうしますか」〔

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