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2006年6月16日 (金)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第4回

「ふむ。俺にはお前さんが見るようなものは見えないからよ、答えようがないんだが――そいつこそ、和魂から出ていた光や色ではないか? だとすると、それは輝きながら天に昇ったんだな」

「お母さんに、逢い、たい……」と、わたしは乱れた小さな声でいい、思い余った眼で従兄を見ました。

 ところが、従兄はわたしの肩に再び両手を置くのでした。「さあて」とつぶやき、彼はふっくり浮かんだ雲を見あげます。

「放浪するうちにすっかり大きくなっちまった俺の耳が聴いたことだが――、女王連合国の女王様はな、神秘のお方であるうえに、異国の法外な知識(おしえ)を蒐集しておいでだそうだ。あのお方ならば、和魂のお母さんに逢える術をご存知かもよ。

 しかしな、マナ。和魂になったら、そいつは他の沢山の和魂と一緒になるっていうがな。ほい、あの雲みたいにくっつき合って、お母さんの和魂は溶けてしまったのだ」

 たった今の従兄の説明に、どうしたことか、わたしの中の何かが激しく抵抗しました。女王様ならば、ご存知かしら、とわたしは考えました。

 しかし、この時のわたしにとって、女王連合国の女王様居するヤマト(※邪馬台)国はあまりに遠く、そこにおられるという女王様は幻じみて思われたのでした。〔

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