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2006年6月30日 (金)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第18回

 そういうと、男は命じて輿の帳(とばり)をあげさせました。

 山々が見えました。優美な山容は、紫色にかすんで見えます。よく整備された稲田が広がっていました。高床倉庫群を過ぎると、咲き満ちた花野が見えます。

「きれい……」
「女王の園だ。ここで、染料や薬用となる草木を栽培している。生える草木、また水質、水量の点でも、この倭の国はかの大国――、中国南部に引けをとらぬ。女王は染色品を連合国の特産品にしようとして、研究班を組織しておいでなのだよ」

「あ……、それでは、ここはもう女王様の都なのですか?」
「如何にも。ここは連合国の女王が居するクニ、ヤマトの都だ。わたしは女王の側近の1人で、名をイサエガという。おとめ――、そなたを譲り受けるために、わたしはしばしばあの地に赴いた。そなたの病がわたしの処置で癒えた朝、叔母上の承諾を賜ったのだ」

 頭が混乱してきて、「わたしは何処に住むのでしょう?」と、イサエガと名乗る男に問えば、
「神殿に」と男。

 わたしの眼はまんまるとなり、「そこで、あなたと結婚生活を送るのですか?」と問いました。

 すると、彼は、家畜にしたウリボウを見るようにわたしを見たのでした。

「そなたはわたしに嫁ぐのではない。神殿で暮らし、おとめよ。それはただ、至聖所の雰囲気にそなたが身を染めんがため」〔

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