映画「ヒトラー最期の12日間」を観て―2005.10―(Ⅶ)
地下要塞でヒトラーは、「われわれは戦争をするよう運命づけられていたのだ」と論じた。
われわれが手にしていた可能性を考えてもみよ――と彼はいった。もし自分が破滅を運命づけられているとすれば、その原因は自分のラディカリズムにあるのではなく、中途半端な態度、最後まで自分を貫き通す能力の欠如にあった――と彼はいった。
不安定で影響を受けやすく、飛躍を好み、まれにみる無神経さで一方の極端から一方の極端へと転んできたドイツ人民のような国民を統率していかなければならないことを個人的な不幸と感じるようになった――と彼はいった。
自分でもよくやったと思えることはただ一つ、ユダヤ人を正々堂々と撲滅し、ドイツの生活空間からユダヤ人の毒を排除したことだけである――と彼はいった。
地下要塞で、人々はやけっぱちのらんちきパーティーを繰り広げる。この段になるともう身分の差もなく、あるのは共通の運命だけだった――とユンゲは手記に書いている。ゲッベルス夫人は私たちの中で最も苦悩が大きかった――とも。
ゲッベルス夫人にはもう子供たちと平静に向き合う気力がなく、エーファ・ブラウンやユンゲが子供たちに童話を読んでやったり罰遊びをしたりして、恐怖から遠ざけておいてやろうと心を砕いていた。〔続〕
※引用・参考文献は、連載の終わりに付するようにしています。
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