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2006年6月24日 (土)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第12回

 時折、わたしは叔母に急な用事を言いつかって外に出されることがありました。

 それは決まって来客のあるときでしたが、わたしはあらかじめ離れた場所へ行かされるために、そのお客を見知る機会はありませんでした。

 家に戻ると、叔母はすぐれない顔色をし、気分を害した様子となっているのが常で、わたしに当り散らしたかと思うと、今度は発作的に抱き締めたりしました。

 そうした日の晩は、歯噛みしてすすり泣く叔母をなだめる叔父のささやき声が、離れたねやから聴こえてくるのでした。

 そうして、いつの間にか、3年が過ぎ去ろうとしていました。

 初潮を迎えたわたしは髪をあげ、いつお嫁に行っても不思議でない女人として暮らし始めました。大人(たいじん)に生まれついたおとめの輿入れ先は、クニ内とは限りませんでした。

 どうしても嫁に行かねばならないものなら、わたしは底知れず碧いという海が見たかったので、海路を使っていくような遠いクニへ、いえ、わたしの無邪気な冒険心は、異国へ嫁ぐことさえも夢想するのでした。

 相変わらず、機織りは下手、琴のしらべはつっかえひっかえでしたけれど……。〔

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