創作の神秘(Ⅲ)
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ただ全身的に爽快だったのは、カモマイルを最初に使用した日だけだった。それでも、カモマイルはわたしの湿疹に合っていたらしく、5年間毎日掻き毟ってきた湿疹が、ほとんど気にならないまでになり、今では思い出したように塗るだけだ。ひどかったのが、嘘のようだ。1000ml入りの青い壜に入った「ローマンカモマイル」は、まだ使い切っていない。
そして、話は4月に飛ぶ。その間、健康状態には紆余曲折あった。現在服用している薬は、心臓の薬がインデラル、ヘルベッサー、ニトロペン(狭心症発作時の舌下錠)。整腸剤がコロネル、エンテロノン。気管支喘息の薬がフルタイド(吸入ステロイド)。
作家の卵として壁にぶつかっているのと同様、喘息治療でも壁にぶつかっていた。というのはわたしの側の認識であって、医師は壁になどぶつかっておられず、わたしの治療の受けかたに問題があるばかりだとおっしゃるだろう。
わたしはこれ以上、どんなかたちであれ、ステロイドを体内に入れたくなかった。それは、生き物としてのわたしの勘がそう思わせるのだった。わが国では、フルタイドのような吸入ステロイドに副作用はほとんどないとされているけれど、そうではないとする薬害摘発関係者もおられるようだ。
わたしが喘息治療を受け始めて、まだ1年半ほどにしかならない。台風被害の後始末や引越し作業で埃や黴菌を吸い込んだことが原因なのかどうか、咳が出てとまらなくなった。立て続けに長時間咳き込むといくらでも尿が漏れ、本気でオムツをしようかと思ったくらいだった。喘息の発作だった。
呼吸機能の検査で、喘息だということがはっきりした。喘鳴がなく、咳が続いていただけだったから、喘息といわれて驚いた。ただ、これまでこれほどの発作に発展したことはなかったとはいえ、異常に咳がとまりにくいことは小さな頃からあり、自分で気づかなかっただけで、元々が喘息体質だったのだろう。呼吸器科と循環器科どちらの医師も、頻脈を抑えるために飲んでいるインデラルの副作用である可能性も指摘されている。原則として喘息患者にインデラルは厳禁らしいが、わたしの頻脈をうまく抑えてくれる薬は他に見つからなかった。
とにかく、わたしはこれ以上ステロイドを使いたくない気持ちだったが、今の喘息治療の主流は吸入ステロイドで、毎日使用しなければならない。今年に入ってからなるべく使わないようにしてきたが、そうすると痰にむせて目覚めることが多くなって日常生活に差し支え、ときには命の危険すら感じないわけではない。でも毎日使っていると、全身的にいろいろなことが起きてくる。それら全てがステロイドのせいとはいいきれないが、ステロイドを使っていないときには、そんな気味の悪い現象は起きないのだ。
わたしがほとんどステロイドを使わなくなっていることに、呼吸器科の医師は気づいておられるようで、先生との関係が悪化しそうだった。診察日に、勇気を出して吸入ステロイドは使いたくないというつもりでも、いえない。これまでにも何回かステロイドを常用する不安を訴えたことはあったが、そのたびに理路整然と説得された。
患者のいう細かなことまで逐一パソコンのカルテに書き込む、記憶力も管理力も優れた、とてもプライドの高い先生なのだ。循環器科の医師と連携して治療にあたってくださり、最新の吸入ステロイド治療を売り物にしている医師に、他の治療法を選択できないかを伺うには、蛮勇が必要だ。何より循環器科の医師との関係を壊したくないだけに、万全の対策が必要だった。
4月に入ってから、喘息の発作が出ていた。大きな発作に発展することはなかったが、ときどき休止状態を挟みながら絶えず咳き込み、咳と痰で眠りを妨げられ、当然体調はよくなかった。こうなるともうステロイドなしではやっていくことが難しいのだったが、あえて使わずに、咳き込みつつ、不快な気分でカモマイルを購入したハーブ専門店に出かけた。
夢の中で、ハーブの女神様(?)は、「あなたの身も心もさわやかに」とおっしゃった。ハーブは確かに湿疹には効いたけれど、ハーブが、ハーブなんかが、喘息にも効くのだろうか。この時期にわたしは書きかけの児童文学作品の中で、主人公の弟の喘息が薬草で癒えることを書かなければ作品は進行しないのだったが(ここのところをどうしても書けないでいた)、これも不思議といえば不思議なことだった。
わたしの喘息がハーブで癒えなければ、中世の西欧に通じる異次元の巨大な鍾乳洞の中で苦しんでいる、あの小さな可愛い男の子は死んでしまうのだ。自分がつくり出した作中人物と運命を共にするとは、何と壮絶な悦びであることか! (続)
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