2021年11月28日 (日)

ヘッセの代表作「デミアン」に登場するアプラクサスとイルミナティの神、そしてユングの神々

「マダムNの神秘主義的エッセー」で公開した「ワイス博士の前世療法の問題点について、神秘主義的観点から考察する」という記事にちょっと加筆するつもりが(一旦この記事は閉じている)、とんだことになってしまった! 不気味な闇の中を彷徨っていたような数日間だった。

ワイス博士の前世療法には分析心理学を創始したユングの影響が当然あるはずで、そのユングが降霊術のとりこだったことはリチャード・ノル(老松克博訳)『ユングという名の「神」―秘められた生と教義』 (新曜社、1999)で知った。

ユングは若い頃から降霊術に熱中しており、生涯にわたって、降霊術に出現する死者の国の霊や神々に相談し、それを他人にも相談するよう教えたというのである。(ノル,老松訳、1999,p.37)

ユングがロックフェラー家の助力で設立した心理学クラブを訪れていたヘッセ。

わたしは前記事で採り上げたヘッセの代表作「デミアン」に出てくるアプラクサスが気になった。「神的なものと悪魔的なものを結合する象徴的な使命を持つ」神として、アプラクサスは登場する。

家にあるジョン・R・ヒネルズ編(佐藤正英監訳)『世界宗教事典』(青土社、1991)にアプラクサスの項目はなかった。あれこれ調べたが、家にあるものからは出て来なかった。コトバンクに解説があった。

ヘレニズム時代に,アレクサンドリアを中心にして,一部の人たちが最高神を呼ぶときに使った名称。しばしば鶏の頭をもち,右手に盾,左手にむちをかざし,両足が蛇で,4頭立ての馬車に乗った姿であらわされている。鶏は予見と用心深さを意味する鳥であり,盾は知恵,むちは力を意味し,2匹の蛇であるヌースとロゴス,すなわち霊性と理解とに支えられ,宇宙の四つの方向をめぐって支配する神とされる。ABRAXASの7文字は,七つの光,または数理的に365を意味し,紀元2世紀のアレクサンドリアに在住したグノーシス派のバシレイデスBasileidēsによれば,この宇宙は365の層をなす天によって構成され,その最下層の神がアブラクサスであって,地球や人類を創りだし,七つの属性によってこの世を支配している。

平凡社. “世界大百科事典 第2版「アブラクサス」の解説: アブラクサス【Abraxas[ギリシア]】”. コトバンク. https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%B9-1143525, (参照 2021-11-27).

ウィキペディアには次のようなことが書かれている(出典が書かれていない)。

アブラクサスはエジプト神話においてイシスの眷属だったらしく、さらにペルシア起源のミトラ神信仰とも関係があったが、この宗教はローマにおいて、はじめの400年間、キリスト教の最大の対抗勢力であった。……(略)……アブラクサスは物質界を創造し、悪魔的な性質を持つ旧約聖書の神(実際は創造された存在で、高位のアイオーンであるソフィアの息子)に同化していった。
中世には、アブラクサスは正統派のキリスト教によってデーモンとみなされ、崇拝者は異端とされた。

関連項目
・イルミナティ

ウィキペディアの執筆者. “アブラクサス”. ウィキペディア日本語版. 2021-03-18. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%B9&oldid=82510531, (参照 2021-11-28).

「イルミナティ アブラクサス」で検索すると、「バーバリアン・イルミナティ: イルミナティに罪をなすりつけてきた黒魔術団」という記事がヒットした。

バヴァリアン・イルミナティ(Bavarian Illuminati)の7位階の人々によって運営されている、正真正銘のイルミナティの啓蒙サイト「啓明:「秘密の宗教-神になるには(Illumination: the Secret Religion - How to become God)」から、翻訳紹介した文章のある「バーバリアン・イルミナティ: イルミナティに罪をなすりつけてきた黒魔術団」という記事だった。

その記事に「アブラクサス」という記述があったのである。「プロローグ全文翻訳」からその箇所を引用させていただく。

私たちはイルミナティです。

私たちは、真の神のメッセンジャーです。

私たちの神聖な任務は、人類と神の神々しい本質との間には、もはや少しの差異もない、という本当の神との全体的合一の中に、人類を導くことです。

どのようにして、このことが達成できるのかは、アインシュタインの相対性理論と量子力学の理論を使うことによって、はっきり見ることができるのです。
もう、人類は、しっかり目を見開いて、この神聖な光を見るべき時なのです。

私たちの宗教は、イルミネーション(Illumination=啓明)と呼ばれています。
私たちは、この無知で開かれていない世界に、真の神、アブラクサス(Abraxas)の光を当てるために影の世界から出てきた者です。
すべての人たちに、啓明の光、覚醒の光をもたらすために。

大谷弘仁. “バーバリアン・イルミナティ: イルミナティに罪をなすりつけてきた黒魔術団”. 備忘録ノート. http://bibourokunote.blogspot.com/2011/06/blog-post_14.html, (参照 2021-11-26).

アブラクサスが「真の神」と呼ばれている。そして、イルミナティのグランド・マスターだったアダム・ヴァイスハウプト(Adam Weishaupt)の紹介の後に、以下のユングの言葉が引用されているのである。

「私が15歳のとき、聖杯伝説を読んで以来、それは私にとって、もっとも重要なことになったのである。聖杯伝説の背後には、大いなる秘密が隠されていることを感じ取ったからである」  カール・ユング

同上 (参照 2021-11-26).

前掲「プロローグ全文翻訳」にはグランド・マスターの名前も挙げられている。

イルミナティのもっとも有力なグランド・マスターは以下のとおりです。
・背教者ソロモン王(King Solomon the Apostate)
・ピタゴラス(Pythagoras)
・ヘラクレイトス(Heraclitus)
・エンペドクレス(Empedocles)
・シモン・マグス(Simon Magus)
・ヒュパティア(Hypatia)
・ライプニッツ(Leibniz)
・アダム・ヴァイスハウプト( Adam Weishaupt)
・ゲーテ(Goethe)
・ヘーゲル(Hegel)
以上の10人です。

同上 (参照 2021-11-26).

アダム・ヴァイスハウプト(1748 - 1830)以降のゲーテ(1749 - 1832)、ヘーゲル(1770 - 1831)はイルミナティだったのだろう。

イルミナティのサイトに引用されているユングも、イルミナティだったのだろうか? ユングの影響を受けたヘッセは「デミアン」で主人公シンクレールをアプラクサスに捧げるという行為を創作上の行為とはいえ、やってのけているのだから、イルミナティだった可能性もある。

薔薇十字団、フリーメーソン、フリーメーソンを侵食したイルミナティはキリスト教の弾圧を怖れて地下に潜り、秘密結社となった。その弾圧がなくなった現代、秘密結社は地上に出てきたのだろうか? 前掲記事で紹介されているイルミナティのサイトは真正なものなのだろうか?

冒頭で引用したリチャード・ノルの文章にユングが「降霊術に出現する死者の国の霊や神々に相談」したとあるのが気にかかる。もし神々を招喚する魔術を行っていたのだとすれば、ユングは精神医学者の仮面を被った黒魔術師ではないか。あるいは、降霊会に神の名を騙るカーマ・ローカの幽霊たちが出現した、それを「神々」と呼んでいるだけなのかもしれないが。

いずれにせよ、もしノルの記述が本当だとしたら、それは精神医学を中世の闇に引き戻した、信じられない所業である。

マダムNの神秘主義的エッセー」における関連記事:

69 革命結社の雛形となったイルミナティの思想と掟、イルミナティ用語としての「市民」
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2017/06/19/183509

77 前世療法は、ブラヴァツキー夫人が危険性を警告した降霊術にすぎない
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2017/11/16/195219

80 トルストイ『戦争と平和』… ①映画にはない、主人公ピエールがフリーメーソンになる場面
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2018/04/03/200934

81 トルストイ『戦争と平和』… ②ロシア・フリーメーソンを描いたトルストイ
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2018/04/05/151342

82 トルストイ『戦争と平和』… ➂18世紀のロシア思想界を魅了したバラ十字思想
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2018/05/05/221437

83 トルストイ『戦争と平和』… ④フリーメーソンとなったピエールがイルミナティに染まる過程
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2018/05/24/200700

91 C・G・ユングの恣意的な方法論と伝統的な神秘主義
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2019/01/13/170110

104 トルストイ『戦争と平和』…⑤イルミナティ創立者ヴァイスハウプトのこけおどしの哲学講義
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2020/10/11/220247

105 トルストイ『戦争と平和』…⑥テロ組織の原理原則となったイルミナティ思想が行き着く精神世界
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2020/10/11/220929

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2021年11月25日 (木)

(再度の加筆のため、一旦閉じました)神秘主義的エッセーブログを(一応)更新しました(加筆あり、赤字)

※加筆に時間がかかりそうなので、一旦閉じました。「いいね」してくださったかたがあったのに、申し訳ありません。(2021/11/27 18:44)

ブログ「マダムNの神秘主義的エッセー」を更新しました。

113 ワイス博士の前世療法の問題点について、神秘主義的観点から考察する
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2021/11/23/030326

公開後に改めてヘッセの『デミアン』を読み、以下のようなことを考えたところなので、これをそっくり加筆するかもしれません。

+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ヘルマン・ヘッセ(高橋健二訳)『デミアン』(新潮文庫 - 新潮社、2007改版)の訳者解説によると、1919に発表された『デミアン』がドイツの若者に如何に大きな影響を与えたかが窺えます。

『デミアン』は力作であると同時に問題の作である。大戦直後、発表された当時、シュペングラーの『西洋の没落』と並んで、迷えるドイツ青年層に大きな衝撃を与えたばかりでなく、ヘッセ自身にとっても人間的にも芸術的にも一転機を画した作である。成功した作であるか、失敗した作であるかは別として、『デミアン』はヘッセが必死になって自我と取り組んだ力作であり、よかれあしかれ彼の代表作であることは衆評の一致しているところである。(p.247)

ヘッセによると、デミアンとはデーモン(悪霊にとりつかれたもの)から出ているとか。

『デミアン』執筆の背景として、第一次世界大戦の衝撃、ラングという精神分析に詳しい医師と知り合いになったことから精神分析に強い興味をそそられ、読心術、夢の解釈などをはじめとする精神分析的要素が随所にとり入れられたことが挙げられています。

ロックフェラー家の助力でユングの「心理学クラブ」が設立されたのは1916年。そこを訪れたというヘッセの『デミアン』にはクラブの大きな影響が――作風を一変させるほどに――あったというわけです。

神的なものと悪魔的なものとに引き裂かれそうになったヘッセは、この作品を書くことで、二つの概念の止揚を試みたのではないでしょうか?

悪魔的なものの中には性欲も入っており、性欲の扱いに困っている青年の姿が生々しく描かれているのですが、それを主人公が頭の中で誇大妄想的に、理想とする生身のエヴァ夫人の幻像を世界観に溶かし込む様子に読者として不安にさせられました。エヴァ夫人と息子のデミアンは主人公の指南役として、過剰なまでに大きな役割を果たします。

若者受けを狙ったのかどうかはわかりませんが、この作品の発表当時のヘッセが42歳だったことを思えば、大人の視点を完全に欠いたまま無理に脱稿したような作風にわたしは奇異な感じを受けざるをえませんでした。何歳での発表だったか確認するまでは、20代前半での発表と思っていたほどです。

心理学クラブの影響を受けたヘッセ(1877 - 1962)と、神智学及び人智学の影響を受けたカロッサ(1878 - 1956)は同世代です。

『デミアン』の後半部はあまりに夢幻的、抽象的、観念的であり、世界と自己の陥っている限界感を解決するものとして、ヘッセは次のような結論を主人公にもたらします。

巨大な鳥が卵から出ようと戦っていた。卵は世界だった。世界は崩壊しなければならなかった。
ヘルマン・ヘッセ(高橋健二訳)『デミアン』(新潮文庫 - 新潮社、2007改版、p.242)

これは革命思想ですね。

崩壊後の具体的なヴィジョンのないところは、イルミナティ教団を創設したアダム・ヴァイスハウプトと同じです。カバール(悪魔崇拝主義)といわれる国際金融資本ロスチャイルド家がヴァイスハウプトとマルクスを支援し、ロックフェラー家がユングを支援していたとはね。

一方、カロッサの作品では、神智学の影響が次のような言葉となっています。

空疎な唯物論は、さいわいにして、ようやく没落し、今では神智学という立派な信頼すべき学問が存在している。そしてその学問のおかげで、私たちが現世の肉体のほかにもう一つの肉体、エーテルの肉体を持っていることが、決定的に証明された。この肉体は宇宙のあらゆる永遠の生命力とつながっていて不滅であり、幾度も浄化され、いくつも星をへめぐったのちにおいて、ふたたび自分の血縁者たちと出会うだろう。
カロッサ(国松孝二訳)『指導と信徒』(岩波文庫 - 岩波書店、2012、p.40)

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2021年11月21日 (日)

イベルメクチンのおかげ(19日、起床時は風邪気味→3時間後に軽快→予定の循環器クリニックの受診を平熱で無事済ませる→夜、ウォーキング)

カテゴリー「新型コロナ対策: イベルメクチン」記事一覧

 

①19日の金曜日、早朝。喉が痛くて寒気がし、体は熱っぽい。循環器クリニックの受診日だった。予約制ではなく、午前中に受診すればいいのだが、前回受診時にワクチン接種の有無を訊かれたりしたので、熱があればまずいと思った。あいにく体温計が壊れていた。何はともあれ、イベルメクチンだ!②へ

②薬局が開いたら体温計を買ってきてくれるよう、家族に頼んだ。イベルメクチン を飲んで、体調を自己観察。昨夜飲んでおけばよかった、すぐによくなるのは無理かもしれないと思う。
しかし、次第に喉の痛みが和らぎ、3時間くらいして体に爽快感が満ちた(イベルメクチン服用時は大体そうなる)。③へ

③その時点で風邪の感じはほぼ消えており、買ってきて貰った体温計で平熱。クリニックでの検温も平熱、無事に受診を済ませることができた。
その夜と土曜日の夜はウォーキングにも出かけた。以前挫折したウォーキングを再開できるようになったのも、イベルメクチン で心臓の調子がよくなったおかげ。

循環器クリニックの受診日の朝、起床時は相当に風邪っぽかった。予約制ではないので、受診日を変更しようかとも考えたが、薬がもうなかった。このまま推移すれば、熱が出るのは間違いないと思われ、治るのを待つとなると、3日くらいはかかりそうだった。

でも、今はイベルメクチンが引き出しの中で待機してくれているのだ!  すぐに服用したが、4時間くらいで体調がよくならないと午前中の受診に間に合わない。午後は手術日なので、その日の診察は午前中のみだった。

前回の受診時に、先生は反ワクチン派から誹謗中傷の手紙が届いたとおっしゃった。反ワクチン派とは何の関係もないが、わたしはワクチンには懐疑的で未接種だ。何だか気まずかった。熱を出して受診するのは、コロナでなくてもまずい。

熱があると、別診察になるので、余計な時間をとらせることにもなる。このところ待機している若い男性の医療従事者の姿を見るが、コロナ疑い専門に雇われたお医者さんなのかもしれない。

体温計が壊れていたため、熱があるとは限らなかったが、時間が経つごとに出そうな、やばい体調だった。

幸い、ツイッターでつぶやいたように、イベルメクチンのおかげで助かった。これほど速く効くとは改めて凄いと思う。風邪っ気が消えたので、その夜と土曜日の夜も娘とウォーキングを行った。今夜は日曜日ということで、ラジオ体操と5分のビリー体操のみ。

伊勢国朝熊岳 萬金飴
伊勢くすり本舗

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この飴もよく効くので、嘗めた。 

循環器クリニック、その数日前に受診した内分泌科での受診の記録は別記事で。

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2021年11月17日 (水)

瀬戸内寂聴の死――日本文学の凋落を招いた坊主コスプレ女性は死後、何処へ?

瀬戸内寂聴が99歳で亡くなった。

中学時代から63歳になる今日まで、50年間文学界を傍観してきたわたしは、瀬戸内晴美・寂聴(1922年5月15日 - 2021年11月9日)なる女性が、大物作家の死去するごとに存在感を強めていく姿を見てきた。いつのまにか、寂聴は大御所的存在となっていた。

彼女こそ、日本文学が左傾化、低俗化、在日化する原因をつくった人物であり(別に日本の純文学界は日本人で固めなければならないなどといっているのではない。日本人が日本で純文学作家になりにくい状況をつくったことに疑問があるだけだ)、そうした爆弾を次々に投下されて日本文学は焼け野原になってしまった。

呆然として、その焼け野原にたたずむばかりである。そして、日本文学の凋落を招いた坊主コスプレ女性は死後、何処へ? と思う次第。

元々、小説家としての瀬戸内寂聴に興味があったわけではない。岡本かの子(1889年3月1日 - 1939年2月18日)に興味があった。

かの子は男性との関係において破天荒なところがあったが(夫の一平にも変わったところがあった)、彼女の作品は性愛を描きながらも知的で、清流のような自然の神秘性が香り、気品のある筆致である。人物造形も巧みだ。

かの子は仏教に傾倒し、仏教研究家でもあった。芸術家の岡本太郎は息子である。

それで、寂聴による岡本かの子に関する評伝『かの子撩乱』を読んだのだった。資料に基づいて書かれた部分は労作と感じさせられ、面白かったが、寂聴の「かの子」像は妙に生臭く幼稚で、閉口した。

作家としての寂聴の力量に疑問が湧いた。

あれこれ読んでみると、寂聴の人物像はどの作品でも金太郎飴のようで、漏れなく寂聴色に染められている。人物像が単調である。人間観察ができていないように思われた。

瀬戸内寂聴に関しては、既に分析済みで「今東光が訳した神智学書籍と日教組批判活動」というエッセーを書いている。その後も寂聴関係のニュースには目を通してきたが、わたしの寂聴観に今のところ変化はない。

ただし今は、日本の文学界を操った寂聴をさらに背後で操った存在について、憶測している。

「68 今東光が訳した神智学書籍と日教組批判活動( 2017-06-03)」『マダムNの神秘主義的エッセー』。URL: https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2017/06/03/201119

目次

  1. 今東光を師僧として得度した瀬戸内寂聴
  2. 文学界における寂聴の影響
    ・平野啓一郎のデビューと寂聴
    ・僧侶のコスプレをした、巧妙な仲介業者
  3. テロリストの新左翼活動家と寂聴
  4. 代行者による寂聴の得度式
  5. 神智学との関係が深かった今東光の父親
  6. 赤旗のはためきの中、日教組を叱咤し、教育の正常化を訴えた今東光
  7. 追記:神智学の影響が感じられる今東光の著作

わたしはどうしても批判的な目で見てしまうが、ファンの中には寂聴グッズがほしいというかたもいるのだろう。以下の通販サイトで購入できるようだ。

ほほえみ倶楽部
https://www.onsei.co.jp/hohoemi/index.html

「縁起が良い人気色 長財布」って、風水みたいだ。「寂聴さん限定カラー 長財布ぱーぷる」もある。過去の商品には寂聴Tシャツがあった。ファンクラブそのものだなあ。「寂聴さんの静電気除去ストール」はアイディア商品の部類か? 中高年の女性ファンをターゲットにしたものだろうが、多彩な商品の品揃えに驚かされる、立派な雑貨通販サイトである。

Yahoo!ニュースで閲覧した京都新聞の訃報は次のようなものだった。

「瀬戸内寂聴さん死去 作家・僧侶、99歳 文化勲章受章者」『京都新聞』。
11/11(木) 12:51、URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/b02f1d51ed2096bdef0924ae96cfa0f367d491f7

「夏の終(おわ)り」「美は乱調にあり」など、情熱的な愛と生をつづった小説や、法話などの活動で知られる作家で僧侶の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが9日午前6時3分、心不全のため京都市内の病院で死去したことが11日分かった。99歳。……(略)……
徳島市の神仏具商の次女に生まれ、東京女子大在学中に結婚。卒業後、夫の赴任先の北京に渡るが、夫の教え子と恋に落ち、3歳の娘を残して家を出た。離婚後、少女小説や童話で生計を立てる。
 1957年「女子大生・曲愛玲(チュイアイリン)」で新潮社同人雑誌賞を受賞。
……(略)……執筆活動と並行して、信仰に生きた。51歳で出家し、京都・嵯峨野に寂庵を結ぶ。後に岩手県二戸市の天台寺住職も兼ね、京都と往来しながら、荒廃した寺の復興に尽力した。寂庵や天台寺では定期的に法話を開き、孤独や病、家族不和などに悩む人への思いに耳を傾け、励ました。
 社会的な活動や平和への行動にも力を注いだ。湾岸戦争の救援活動や米中枢同時テロへの報復停止を祈る断食を敢行した。東日本大震災時は原発再稼働に抗議し、89歳の時には東京の経済産業省前でハンガーストライキに参加。東北にも足を運んで、被災者を支援した。

優れた文化人であるかのように持ち上げられた寂聴の表の顔に世間は騙されているのかと思っていたが、厳しいコメントの数々を閲覧して、世間は案外鋭く見ていたのだ――と驚いた。勿論、敬愛し、哀惜する声も多数ある。

表に出るのは後者の見方ばかりなので、ここでは批判的なコメントの一部を「続き」に紹介しておきたい。

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2021年11月 7日 (日)

『祐徳院』らくがきメモ 6)能の五番立

「蔵出し名舞台 名人の芸で観る能の五番立」『にっぽんの芸能』(NHK)――初回放送日: 2021年8月27日――を視聴した。

『にっぽんの芸能』の能を採り上げた回は勉強になるので、よく視聴しているのだが、この回は録画したまま未視聴だった。もっと早く視聴しておけばよかったと思った次第。能の五番立の解説がとてもわかりやすかった。ノートしておこう。

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能の五番立

  • 神(しん)
    天下泰平、国土安穏[あんのん]を祈り祝う神の姿を描く。「高砂」「鶴亀(月宮殿)」等。
  • 男(なん)
    主に武将が死後、修羅道という地獄で苦しむ様子を描く。「清経」「実盛」等。
  • 女(にょ)
    多くは女性を主人公とした、美しく幻想的な能。「羽衣」「熊野(湯谷)」等。
  • 狂(きょう)
    心乱れた人々や怨霊、異国のものを描く。「隅田川(角田川)」「葵の上」等。
  • 鬼(き)
    鬼や獅子、天狗などが登場する華やかなフィナーレ。「石橋[しゃっきょう]」「大江山」等。

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江戸時代、能は武家の式楽(公式芸能)と定められていた。萬子媛の夫であった鍋島直朝公が能を嗜まれた背景として、こうした幕府の方針があり、加えて萬子媛の影響もあっただろう。

先月、『多田富雄新作全集』が3,000円台で2点出ていた。新品もあるが、9,240円もする。図書館から度々借りていたので、できれば入手したいと思っていた。中古品だと、汚れていないか心配になる。それも安い値段だと。くずくずしているうちに安いほうは売り切れてしまった。

3,300円の本が残っていた。汚れている箇所が写真に撮られ、表示されていた。箱入りの本で、汚れているのは箱のようだった。中身は無事なのだろうか? 多田氏の作品の内容にはやや疑問があるのだが、とても勉強になる本であることは間違いない。今後、ここまで安い中古品が出るとは限らない。注文した。以下はAmazonの商品ページより。

多田富雄新作能全集
多田富雄 (著), 笠井賢一 (編集)
出版社 ‏ : ‎ 藤原書店 (2012/4/23)
発売日 ‏ : ‎ 2012/4/23

多田富雄三回忌記念出版 現代的課題に斬り込んだ全作品を集大成!
免疫学の世界的権威として活躍しつつ、能の実作者としても、脳死、強制連行、核兵器、戦争など、現代的課題に次々と斬り込んでいった多田富雄。1989年の第一作「無明の井」から、最晩年の「花供養」まで、現世と異界とを自在に往還する「能」という芸術でなければ描けない問題を追究した全8作品に加え、未上演の2作と小謡を収録。巻末には6作品の英訳も附した決定版。

確かに、箱の一箇所が汚れていたが、それほど気になる汚れかたではなかった。中身は新品同然だった。注文カードが挟まれたままで、栞紐が使われたことのないまま二つ折りになって挟まっていた。藤原書店の小冊子「機」も挟まっていた。

嬉しかった。本が汚くなっていると、せっかく購入しても放置状態になってしまうことがあるのだ。図書館から借りる本はありがたいことに、新品同然のものばかり。たまに大衆受けするタイプの本を借りると、あまりの汚さに愕然となる。

多田氏の能作品を再読したが、内容にはやはり疑問がある。しかし、11編の能作品には創作ノート、構成、あらすじなど付いていて、とても勉強になる。海外公演のための英訳詞章集も付いているではないか。

そういえば、イェーツが能の影響を受けた書いた一幕物詩劇「鷹の井戸」が青空文庫で読めたので、印刷して読んだ。独特の雰囲気は出ているが、内容的には痩せている。

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