カテゴリー「友人の詩/行織沢子小詩集」の4件の記事

2008年7月22日 (火)

友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品4|赦し

 大学時代からの友人(文芸部の先輩)の詩を、ご紹介します。友人は行織沢子というペンネームを一貫して用いてきましたが、福岡大学文芸部の機関誌に作品を発表した当時もそうでした。

 今回ご紹介する行織沢子の詩4編は、詩部門機関誌「シャバ」及び掲載の主眼を小説においた「福大文学」に発表されたものです。

 INDEX

   作品1|あこがれ ・・・・・・ シャバ13号、1975年
   作品2|盲人 ・・・・・・・ シャバ13号、1975年
   作品3|現身(うつそみ) ・・・・・・ 福大文学34号、1976年
   作品4|赦し ・・・・・・  シャバ14号、1977年

   赦し

  ・・・・・・・・
君は悪い鏡のなかの
燃える菓子皿だ
君は不当に視つめられた
赤い歯ブラシだ
君は恋する人の
あの非凡な速力だ
影のように付き纏う
君の翳りのような言葉
それとは裏腹の
愛のたえ間ない手
君は信じる以前
の荒地の生命だ
君の忘却の深さから
夢みられた赤い本立
耳に囁かれる風
散歩路で出遇う焼けた空
テーブルが出迎える街
羊水の中の国境のない昨日
朝のメモワール
日の墓
岸辺のなぞり
いのりの

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友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品3|現身(うつそみ)

 大学時代からの友人(文芸部の先輩)の詩を、ご紹介します。友人は行織沢子というペンネームを一貫して用いてきましたが、福岡大学文芸部の機関誌に作品を発表した当時もそうでした。

 今回ご紹介する行織沢子の詩4編は、詩部門機関誌「シャバ」及び掲載の主眼を小説においた「福大文学」に発表されたものです。

 INDEX

   作品1|あこがれ ・・・・・・ シャバ13号、1975年
   作品2|盲人 ・・・・・・・ シャバ13号、1975年
   作品3|現身(うつそみ) ・・・・・・ 福大文学34号、1976年
   作品4|赦し ・・・・・・  シャバ14号、1977年

   現身(うつそみ)

意しき いぜんに森羅万象を
察知する
そんなわたしにわたしは気づかない

ことば の発生するとおい彼方を
うごめく   具象(かたち)をもたないちきゅうがある
     そこにあって
 わたしとはきずかぬわたしが
   いげんじつのことばでもって
意しきするよりはやく察知して
のちにおちてきたところのそれら
ことばの〈ふしぎなさわぎ〉と〈つぶやき〉

それらでもって
   わたしである と想定しつづけ
にんしきしてしまったところの自己は
かがみのおもてにだけ 構想せよ
ひとり てんしなら
あなたは道化やくしゃ
であるというざっくばらんな堕落がある
   人称のうちそとでありふれた
   客体化をきざみながら
      あなたもいつしか死者である
ことばのうまれるとおい彼方で蠢く
具象(かたち)をもたないちきゅうの空で
ひとり体現者であり死者である

もしも ひとりてんしなら
 あなたは光であったかもしれぬ
ならば
   影のみがわたしにふさわしかろう
そんなさんねんかんがわたしにあった
とおい いちにちのように苦しげに
眼を閉じたままで

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2008年7月20日 (日)

友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品2|盲人

 大学時代からの友人(文芸部の先輩)の詩を、ご紹介します。友人は行織沢子というペンネームを一貫して用いてきましたが、福岡大学文芸部の機関誌に作品を発表した当時もそうでした。

 今回ご紹介する行織沢子の詩4編は、詩部門機関誌「シャバ」及び掲載の主眼を小説においた「福大文学」に発表されたものです。

 INDEX

   作品1|あこがれ ・・・・・・ シャバ13号、1975年
   作品2|盲人 ・・・・・・・ シャバ13号、1975年
   作品3|現身(うつそみ) ・・・・・・ 福大文学34号、1976年
   作品4|赦し ・・・・・・  シャバ14号、1977年

   盲人

暗い谷間に日の昇る
わたしを見つけて君は云う
はるかな幻影と没落を祈り
うたうはさびしく絶えた公会堂の人ごみ
天主堂で乱れちる
君に自我の責苦を覗かせよう
アイのギラギラする爪で
君の土色の肌を抱きながら
分裂とコンプレックスにあえぎながら
ことばがわたしたちのものであった時代に向けて
脳波を焦がし
わたしでしかないわたしのために
純粋理性と神話のトンネルをくぐりぬけ
祈りを誰にも相続させずにわたしは
発狂していく
ことばはさかのぼり
ああ
いまわたしを処刑するつもりか
長い坂
流転の谷
真理なんてあってはこまるから
動物たちのことばをおしえてください
クリスマスがわたしのはばたきです
映画を見ない風を見よう
汗のストーリーに耳垢をそえて
君の食卓にパイプで決闘
わたしの明日は
ペーパーナイフ・ライター 

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2008年7月18日 (金)

友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品1|あこがれ

 大学時代からの友人(文芸部の先輩)の詩を、ご紹介します。友人は行織沢子というペンネームを一貫して用いてきましたが、福岡大学文芸部の機関誌に作品を発表した当時もそうでした。

 今回ご紹介する行織沢子の詩4編は、詩部門機関誌「シャバ」及び掲載の主眼を小説においた「福大文学」に発表されたものです。

 INDEX

   作品1|あこがれ ・・・・・・ シャバ13号、1975年
   作品2|盲人 ・・・・・・・ シャバ13号、1975年
   作品3|現身(うつそみ) ・・・・・・ 福大文学34号、1976年
   作品4|赦し ・・・・・・  シャバ14号、1977年

   あこがれ

あこがれの
はるか下界に
吹きあれていた
見えざる者の身ぶりは
いつもの
思わせぶりの突風か
出発の
支度づかれのあと
ホームの伝言板に置かれてあった
あこがれよ

雪解け水に映る
夕陽とわたしのすき間にも
おまえがひそんだものだ
身をかがめ覗きこんだ時の
おまえのまばゆさは
化粧する少年の
うすい唇に塗られた夕陽のかたちだった
すこやかにくれてゆく落日を背に
飴色の鞄をたずさえた わたしと夕陽のあいだを
遠く隔てた白い道 あこがれ

かれをかたどって
半透明の柱を建てたものよ
丘の上を焔白くするまで
幾柱も
幾柱も
だが
巷のさざめきにうたれたままでいた
あこがれを
握りしめた群れの手垢は
柱に怒りの深みを流し込むだろう    

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