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2018年4月10日 (火)

小泉八雲原作、小林正樹監督作品「怪談」。原田伊織『明治維新という過ち』。

録画していた邦画を、夫が見始めました。『怪談』というタイトルでした。

オカルト映画は嫌いですし、映画を観るのは疲れるので、一緒に見るつもりはありませんでした。ところが、別のことをしながら何気なく見ると、まるで舞台劇のような、セットにこだわりを感じさせる映画で、どこか能楽を意識したような芸術的な感じがしたので、興味が湧き、一緒に見始めました。

「古い映画みたいだけれど、いつの?」と尋ねると、「昭和40年だよ」と夫。その時点では、小泉八雲の短編集から4編を選んでオムニバス形式で映画化したものだとは知りませんでした。

三國連太郎、仲代達矢、志村喬、丹波哲郎といった男優が若い姿で登場しました。女優陣も豪華で、新珠三千代、岸恵子、奈良岡朋子、杉村春子など。

「皆若くて新鮮な気がするけれど、年齢を重ねてからのほうが魅力的に見えない? 若いころは何だか皆、のっぺりしてるように見えるんだけれど」というと、夫も「そうだねー!」と同意。勿論、役柄もあるのだろうけれど、皆さんよい年齢の重ね方をなさったことが窺えます。

わたしは、3時間の映画が長いとは感じなかったほど、『怪談』の映像に惹きつけられました。夫はわたしほどには感激しなかったようでしたが、最後まで観ていました。

『怪談』(東宝、1965)
監督・小林正樹
原作・小泉八雲『怪談』中、「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」。
カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞作品

第一話「黒髪」
武士(三國連太郎)
妻(新珠三千代)

第二話「雪女」
木こり・巳之吉(仲代達矢)
雪女(岸恵子)

第三話「耳無芳一の話」
盲目の琵琶法師・芳一(中村嘉葎雄)
住職(志村喬)
甲冑の武士(丹波哲郎)

第四話「茶碗の中」
関内(中村翫右衛門)
関内の妹(奈良岡朋子)
作者(滝沢修)
おかみさん(杉村春子)

特に第三話「耳無芳一の話」は耽美調な映像で、気に入りました。微動だにせず、端然と座している平家の幽霊たち。

鈍色、青、燃え上がるようなオレンジ、赤といった色彩の変化の中から浮かび上がる壇ノ浦の合戦の様子。中村正義「源平海戦絵巻」が挟まれています。琵琶の音があれほど豊かで、迫力があるとは。

「インドとか東南アジアの楽器を連想させるわね」というと、「うん、そっちから来たんじゃない?」と夫。

第一話「黒髪」が一番オカルト映画っぽく、夫に捨てられて実はとうの昔に死んでいた前妻の髪の毛が生きもののように動き出す最後のほうは怖くなって両手で顔を覆ってしまったので、全部観た気がしませんでした。

第二話「雪女」は雪女が歩いたり走ったりしすぎる気がしましたが、雪女と知らずに恋して暮らし、子をなす、その暮らしが美しく、最後は怖いというより悲痛で、美しく仕上がっていると思いました。雪女役が若かりし頃の岸恵子だと気づいたのはわたしでしたが、なかなかわかりませんでした。

第四話「茶碗の中」だけカラーが違っていました。明治時代の出だしから話は江戸時代に遡り、武家屋敷の中が素敵でした。これくらい、素敵なはずですよね。

大河ドラマで『西郷どん』が放送されています。鈴木亮平が好きなので、久しぶりに観ようと思ったのですが、つまなくて、すぐに挫折しました。最近の大河ドラマも朝ドラも昔の日本人はいつも顔が薄汚れていたように描かれる―――それだけで、もう見る気がしません。

その代わりに、娘が購入した磯田道史『素顔の西郷隆盛(新潮新書)』(新潮社、2018)、原田伊織『明治維新という過ち(講談社文庫)』(講談社、2017)を読みました。

明治維新に肯定的な前者と否定的な後者で、2冊は対照的です。テレビで観る磯田氏のお話は面白くて、いつも楽しませて貰っていますが、話がつながらないので、途中が抜け落ちているのではと思うことがありました。著作にも結構それがある気がします。

原田氏の著作を読み、もしこのようなことであったとすると、廃仏毀釈という出来事もなるほどと思えましたが、衝撃的な内容です。まだ判断できません。他にも出ているようなので、何冊か読んでみたいと思っています。感想は、そのうちに。

話が戻りますけれど、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「雪女」「耳無芳一の話」は青空文庫にあります。小泉八雲の小説は文章が綺麗ですね。

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