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2016年9月12日 (月)

フリーメーソンや神秘思想家に関しての参考になるメールを頂戴いたしました

トルストイの名作『戦争と平和』に出てくるフリーメーソン、イルミナティ関係の記事を書いてきましたが(まだ続けるつもりですが、先に芥川賞受賞作品『コンビニ人間』の感想、萬子媛の御遺物メモを済ませなくては)、それに対してとても参考になる、ありがたいメールを頂戴いたしました。

許可もいただかずにそのメールを掲載するわけにはいかないので、わたしの返事を掲載します(若干の訂正を加えています)。

S様、ありがとうございます。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

S様

拙ブログをご訪問くださり、ありがとうございます。
神秘思想を深く研究なさっているのですね、
参考になる本を沢山挙げていただき、感謝いたします。

井筒俊彦氏の翻訳書『ルーミー語録(イスラーム古典叢書)』(岩波書店)を大学時代に読んでルーミーの言葉に心酔しました。
井筒氏の解説もすばらしかったように思います。
井筒氏の訳で他に『コーラン』(岩波文庫)を読んだことがあります。井筒氏のご著書は読んだことがありませんが、すばらしいでしょうね。アマゾンで井筒氏の著書一覧を閲覧してみて、専門領域の広さに驚かされました。そのうち読んでみたいと思います。
ベルグソンは、やはり大学時代に齧ったことがあるくらいです。

実はわたしはロシア神秘思想に特に興味があるわけではなく、たまたまトルストイの映画を観たことがきっかけで、『戦争と平和』にフリーメーソンとイルミナティ(啓明結社)が描かれていたことを思い出し、以前からその二つの結社の関係が気になっていたので、少し調べてみようと思った程度のことでした。

ニコライ・ベルジャーエフという興味深い思想家を教えていただき、ありがたいです。
今読んでいる上田樹『ロシアを動かした秘密結社』(彩流社、2014)に、ニコライ・ベルジャーエフ『ロシアの思想』からの引用があります。
図書館から借りたいと思い、検索したら残念ながらありませんでした。アマゾンで中古だと入手できるようです。

ヤコブ・ベーメは1冊持っていますが(ヤコブ・ベーメ著、南原実訳『キリスト教神秘主義著作集 第13巻』教文館、1989)、難解すぎて最初から最後までちんぷんかんぷんでした。バルザックはよく消化しているようで、さすがだと思います。バルザックはバラ十字の会員でしたから、神秘思想には通じていたのでしょう。

高校から大学時代にかけて詩人になりたいと思っていたので(単なる夢想。あれはイメージを結晶化できる才能がないといけませんね)、詩人は相当に漁り、ボードレールも読みましたが、当時はさほど惹かれませんでした。今読むと、印象が異なるでしょうね。勧めていただき、ボードレールも再読してみなければと思いました。
リルケは東洋思想の影響を濃厚に受けています。カロッサがリルケのそのような姿を描いていますよ。

わたしは翻訳物でないと読めないので、京都大学出版会から西洋古典叢書が出ていることを知ったとき、涙が出るほど嬉しく思いました。
1997年から出ていて、今後も刊行が続くようです。
西洋の『知』の源泉であるギリシア・ラテンの主要な著作・作品を可能な限り網羅し、諸外国のこの種の叢書に匹敵する、西洋古典の一大書林の形成をめざした」という壮大な目標が掲げられていて、頼もしい限りです。

古代ギリシアの神秘思想の専門書は何を読んだかお尋ねですが、プラトンは文庫で出ているものなら大体読みました(『世界の名著』シリーズ収録のプラトン2巻も持っています)。

イルミナティを結成したヴァイスハウプトの著作にプラトンの『ティマイオス』が出てきました(しか出てきません)。『ティマイオス』は文庫で出ていないので読んでいず、論駁するためにも読みたいと思っていますが、読まなくても整合性のとれない文章から、おかしさを指摘することはできそうに思います。

アリストテレスはざっと。

ネオプラトニズムに初めて触れたのはこれも大学時代で田中美知太郎編『世界の名著 続2 プロティノス、ポリュピリオス、プロクロス』(中央公論社)でした。

プラトン、ネオプラトニズムを知ると、ピタゴラスやそれ以前の伝説的なオルフェウスについて知りたくなるものですが、内山勝利編集『ソクラテス以前哲学者断片集 1 』(岩波書店、2008)、先ほど挙げた西洋古典叢書のイアンブリコス(水地宗明訳)『ピタゴラス的生き方』(京都大学出版会、2011)、ポルピュリオス(水地宗明訳)『ピタゴラスの生涯 付録:黄金の詩』(晃洋書房、2007)、またピタゴラス派だったテュアナのアポロニウスを伝えるピロストラス(秦剛平訳)『テュアナのアポロニウス伝 1 』(京都大学出版会、2010)を読んで、少し好奇心が満たされました。

イアンブリコスとポルピュリオスのピタゴラス伝を訳した水地氏には、プロティノス(水地宗明・田之頭安彦訳)『プロティノス全集 1~4,別巻』(中央公論社、1986~1988)があり、読み応えがありそうです。

『世界の名著 続2 プロティノス、ポリュピリオス、プロクロス』は本当に抜粋集ですから。それでもプロティノスのすばらしさは味わえました。

わたしは大学時代にまずキリスト教を知りたいと思い、トマス・アクィナスの『神学大全』を読んだのです。邦訳されているのは一部ですが、その中に引用されているプラトン、ネオプラトニズムのほうに興味を惹かれ、58歳になるこの年まで、そこから離れることができません。

その流れを追っていくと、ネオプラトニズムはキリスト教に劣化した断片的な形で取り込まれる一方では地下に潜り、その地下の流れを追う中でバラ十字、フリーメーソン、ブラヴァツキーの神智学に関心が向いたのです。

フリーメーソンは各ロッジによってカラーが異なるようなので、フリーメーソンと一括りにすることはできないほどの多様性があるように思われます。イルミナティという過激結社が入り込んで、破壊、オルグ工作が派手に行われたようですし。内情は外部からは窺い知れないものがあります。

しかし、書かれたものを読めば、神秘主義的にどのようなレベルにあるのかはわかります。恐れつつ期待したイルミナティのヴァイスハウプトなんてひどいものでした。

いずれにしても、西洋の神秘思想にはカバラが必ずといってよいくらい出てきますね。カバラに東西の貴重な古代神秘思想が流れ込んでいることは明らかなので、知りたいと思っていますが、わたしには難解です。
最近になってようやく、セフィロトの樹などに理解が届くようになりました。カバラの知識がなければ、ヤコブ・ベーメを読むのは無理だと思います。

「ラウカディオハーン、三島由紀夫といった文豪達が日本は東洋のギリシア」といったというのは本当ですか。知りませんでした。ギリシア哲学とは対極にあるような気もします……日本語は哲学には向いていないのではないでしょうか。わたしは古代中国の諸子百家の著作を読むと、古代ギリシアの思想家みたいだと思ってしまいます。書かれたときの形式が似ているからかもしれませんが。

含蓄のあるS様のメールに対して、ちぐはぐなお返事を書いてしまったかもしれません。
参考になる思想家、詩人を教えていただいて、本当にありがとうございます。フリーメーソンに関するご心配もありがたく思います。気をつけます。


それでは、S様のご研究の深化をお祈りしつつ、失礼いたします。

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