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2016年9月 2日 (金)

芥川賞受賞作品「コンビニ人間」を読んでいる途中。古書復刻版メーテルリンクの本。

萬子媛の御遺物メモが中断しているが、芥川賞受賞作品「コンビニ人間」を読んでいる途中。

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950円。それだけ電子書籍で稼ぐには何か月もかかる。それに、ほしい本はいくらでもあるので、迷いに迷ったが、芥川賞というカテゴリまで作っておきながらこのところちゃんと読んで感想を書いていないし、もしかしたらコンビニを舞台にした本格的な純文学作品が登場した可能性もあると思い、購入。

いや、これまでの傾向と何ら変わりなさそうだ。残念。それに、島田選考委員がまた選評内容から浮くような政権批判をしている。

感想は記事を改めよう。少し書くと、たまたま午前中にコンビニ店長の自殺をめぐる訴訟関係のネットニュースを見た。コンビニのバイトのきつさや、フランチャイズの問題点はよく指摘されるところである。

フランチャイズを考案したのは、1850年代にアメリカでシンガー企業(ミシン製造会社)を創業したアイザック・メリット・シンガー(ドイツ系ユダヤ人)だといわれる(ウィキペディア「シンガー(企業)」)。

日本のフランチャイズは1963年のダスキン、不二家の開業に始まるという。

1969年に第二次資本自由化が行われ、1970年代初頭に外資系フランチャイズのミスタードーナッツ、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、ダンキン・ドーナッツなどが相次いで登場した。

わたしは佐野眞一『カリスマ 中内功とダイエーの「戦後」』(日経PB社、1998)で、日本マクドナルドを設立した藤田田がユダヤ商法を本格的に日本に持ち込んだと知った。

藤田は、東大時代にGHQの通訳のアルバイトを通じて知り合ったウイルキンソンという軍曹からユダヤ商法を体で覚えたそうだ。

「日本人がこの先千年、ハンバーガーを食べつづければ、色白の金髪人間になる。私はハンバーガーで日本人を金髪に改造するのだ。そのときこそ、日本人が世界に通用する人間になる」(佐野,1998,277)という藤田の言葉にゾッとしたが、千年といわず、既に巷には金髪日本人が溢れている。その金髪は脱色して染めたものだが。

『カリスマ』を読んだのは都市のドーナツ化現象により商店街が潰れるという問題が出てきたころだった。この現象にはユダヤ商法が深く関係している。格差問題も出てきていたので、わたしはこうした世相を背景に2000年、『地味な人』という小説を書いた。織田作之助賞で三次まで行き、落ちた。

今では逆ドーナツ化現象が問題となり始めたようだ。

わたしはスーパーの衣料品売り場、デパートの食品部、デパートの出張所でアルバイトした経験があり、夫と娘も流通業との関係が深いため、コンビニがどんな職場であるのか、興味が湧く。

コンビニを舞台とした小説にゾラばりの社会派小説か、カフカばりの社会問題を内包する幻想小説を期待してしまった。

受賞者インタビューを先に読んでしまい、失敗した。

バイトは週3回だそうだ。コンビニは非正規社員を沢山雇うことで知られているから、そのような働き方になるのだろう。仕事の掛け持ちも結婚もしていないとすれば、実家からの援助がなければ、暮らしていけないのではないだろうか。

宮原昭夫の文学教室で小説の書き方を学んだという。宮原昭夫という名前、聴き覚えがあるような。文学仲間が同じ教室に通っていなかっただろうか。

「リアルな世界だけれど、ヘンテコなものを書いてみたいと思ったんです。ただ書いても書いても上手くいかなくて、ふと『コンビニ』を舞台にしよう」と思ったとか。

そう、ヘンテコな作品でないと商業誌の文学賞には通らない。芥川賞はその延長線上にある。そうした村の掟に従った作品かと思うと、読む気が失せたが、950円がもったいないので、読むことにした。

候補作の中に在日朝鮮人の少女を主人公とした作品があったようだ。高木のぶ子選考委員の選評によると、日本語で育った少女が日本語でアイデンティティを持つことができない切なさなどが描かれているようだ。

作者の経験が下地になっているのかどうかはわからないが、村の人であるのか、芥川賞の候補にまでなれたのだから、少なくとも作者は村の文学的環境には恵まれているといえる。

メーテルリンク全集の第2巻を図書館から借りた。『マーテルリンク全集――第二巻』(冬夏社、大正10年)の復刻版『メーテルリンク全集 第2巻』(鷲尾浩訳、本の友社、1989)である。貴重な本だ。

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誰も借りていないみたいに綺麗。

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『死後の世界』では、ウィリアム・ジェームズ、ブラヴァツキーを貶めたホジソンにも言及があるようだ。でも、大正時代の本をそのまま復刻したものであるため、何だか読むのが大変そう。

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