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2016年2月11日 (木)

「マダムNの神秘主義的エッセー」更新のお知らせ。萬子媛の小説の今後。

拙ブログ「マダムNの神秘主義的エッセー」を更新しました。

当ブログに書いた2012年から2014年までの3回にわたる参詣記をエッセーとしてまとめたものです。祐徳稲荷神社の石壁社における3回の神秘主義的な記録といっても差し支えありません。

締めくくりとして次のようなことを書きました。

3回の参詣を通して思ったことは、本当に貴重な体験をさせていただいたということである。

何しろ、萬子媛は1625年にお生まれになり、1705年閏4月10日(1705年6月1日)に80歳で入定なさった御方なのである。おそらく、あの世でボランティア集団を形成して300年以上、この世のために尽くしてこられたということなのだ。凡人には気が遠くなるような話である。千手観音のような萬子媛だ。

2012年に石壁社で萬子媛に語りかけたときに、「え?」と驚かれたその感じが如何にも高貴な率直な印象で、生きていらっしゃるときには江戸時代の貴婦人だったし(晩年は黄檗宗の僧侶だったわけだが、わたしには貴婦人の印象が強い)、霊界ではもっとすばらしい姿だろうが、わたしには光としてしかわからない。

萬子媛を一度驚かせたが、萬子媛のお考えをこちらで読みとることはできない。

霊感が徐々に開かれてよかった。江戸初期に生まれた400歳近い貴婦人と心を通わせることができたのだから。

だが、こんな無分別なことをいつもしているわけではない。

神社はある意味でお墓であることも多く、わたしは神秘主義者として、そこに存在しているかしていないかわからない霊に向かって不用心に話しかけるようなことは怖ろしくてできない。

萬子媛の場合は生前どんな人物だったかがある程度わかっており、ある種の勘もあって、話しかけても安全だと思ったのだった。でもまさかお返事というか、実際に反応があるとは想像もしなかった。

それが何と300年以上、参拝者のために律儀にご公務なさっているとは。霊的にはすばらしい段階に、おそらくは達しておられながら。いや、だからこそなのだろうが。

萬子媛が生前から村人たちにその徳や神通力を敬慕されていたことを思い出そう。エッセー40「ブラヴァツキーの神智学を誹謗中傷する人々 ②三浦関造の雛たちに危いまなざしを向ける人」で書いたように、死んだからといって、誰もが聖者のようになれるわけではない。生前に聖者であった人のみが死後も聖者としての高級な影響力を発揮しうるのだ。

萬子媛が「水鏡」の村人と会話を交わしたのがいつのことかはわからないが、「村人からは大変敬慕されていました」とあるから、僧侶としての方向性が定まり、落ち着きが備わって、貫禄が出て来たころではないかと想像する。透視力も備わっていた。

元禄11年(1698)に黄檗僧の正装をした萬子媛の肖像画が描かれている。このとき73歳。

謹厳そのもののお顔だが、わたしが神秘主義的に感じとった萬子媛は、さすがは神様として祀られているだけあって、光源となりうる圧倒的なパワーの持ち主であり、おそらくは生前もそうであったように温かな人柄と微に入り細を穿つ濃やかさを持ちながら、一方ではユーモアを好みそうなタイプの御方だと感じた。

そして、生前も、あの世でボランティア集団を組織して300年以上も奉仕活動をなさっている今も、とても率直な御方なのではないだろうか。

そうした率直さ、優しさ、面白さ、楽しさ――などの豊かな情緒が太陽の光のようなオーラを通じて格調高く伝わってくるので、わたしは萬子媛が怖くなく、たちまち大好きになってしまったのだ。

もしわたしが江戸初期に生まれ、萬子媛の禅院で修行生活を送ったとしたら、厳格さをより強く感じることになったのだろうか。

萬子媛を知る人間によって書かれた、萬子媛の唯一の小伝といってよい「祐徳開山瑞顔大師行業記」は、佐賀藩の支藩である鹿島藩の文人大名として知られる義理の息子、鍋島直條によって、まだ萬子媛が存命中――逝去の1年前――の元禄17年(1704)に著述された。

お世話になっている郷土史家・迎昭典氏が「萬子媛についての最も古くて上質の資料」とおっしゃる、萬子媛に関する第一級のソース――史料――である。

萬子媛の2人の息子は不幸にも1人(文丸あるいは文麿。鍋島直朝の4男)は10歳で、もう1人(式部、朝清。鍋島直朝の7男)は21歳で夭逝したが、義理の2人の息子、直孝(断橋、鍋島直朝の2男)、直條(鍋島直朝の3男)との関係がどれほど温かな、良好なものであったかは前掲史料からも推し量ることができる。

親戚がうるさくてなかなか出家できなかった……と、僧侶になっていた断橋に萬子媛が打ち明けたようなことまで書かれていて、つい笑ってしまった。生前から率直な御方だったんだと納得した次第。

人間、死んでもそう変わるものではないというが、本当にそうだという気がする。また、あの世には具体的な実際的な活動を通してこの世のために奉仕している方々がいらっしゃるといわれていることが、萬子媛の存在とあり方で本当にわかった。

江戸時代に生きた御方と霊的なふれあいができたという驚くべき、高級感のある歓びはこの世の何にも勝るものと思われるが、俗人の悲しさで、人生の問題に直面しているときには全てが夢ではなかったかと疑ってしまいたくなる。

2015年が暮れるころ、萬子媛を主人公とした歴史短編小説を仕上げた。この短編を核として作品を膨らませたいと考えている。果たして、オーブンの中でふんわり膨らむシフォンケーキのように上手に膨らませることができるだろうか。

どのように膨らませていくかで迷いがありましたが、わたしには江戸を小道具にしてヒューマンストーリーを書くことは逆立ちしてもできないので、初の歴史小説として完成させた短編の書き方でやっていくことを自己確認しました。

郷土史家の資料をそのままの形で生かし、萬子媛の小伝を書いた萬子媛の義理の息子である鍋島直條の作品を紹介するには、その形式しかないだろうと考えます。

評伝風小説、あるいは小説形式の評伝です。

いわゆる歴史小説とは若干異なる、こうした形式の作品は実は多く書かれていて、わたしは特に門玲子氏のご諸著に学ばせていただきたいと考えています。

夫はそうした形式の作品を多く読んできたため、わたしの作品には違和感がないといい、感動までしてくれたので本当に驚きました。結婚した意味があったとまで思ったほどでした(?)。

萬子媛の評伝風小説を膨らませることを主目的とするため、残る江戸四景を各短編として完成させるかどうかはまだ迷いのあるところですが、勉強のために何らかの形にせざるをえないだろうと思います。

以下の過去記事に絡んだ神秘主義的分野の学習でもちょっとした進歩(わたしにとっては大きな前進)がありました。急に学習が進むことってありますよね。

荒井献『ユダとは誰か』(講談社、2015年)を読んで、もう一つ『ユダの福音書』のイメージが掴めず、グノーシス文書の中でどう位置づければいいのかもわかりませんでした。

図書館にこの方面の第一級の研究家二人の共著、エレ―ヌ・ペイゲルス&カレン・L・キング『『ユダ福音書』の謎を解く』(山形孝夫・新免貢訳、河出書房新社、2013年) があったので、夫に頼んで借りてきて貰いました。

エレ―ヌ・ペイゲルスはナグ・ハマディ研究で大層有名な人で、プリンストン大学初期キリスト教史学の教授。カレン・L・キングはハーヴァード大神学部教授です。

カレン・L・キングは以下の記事を書いた時期にテレビのニュース番組で見ました。時間をかけた貴重な研究の成果をバチカン関係者(だったかな)にあっさり否定されていましたっけ。

しばらくこの方面の読書から離れていたので、二人のその後の研究がどうなったか知りませんでしたが、『ユダ福音書』を共同研究していたなんて、夢のよう。

『『ユダ福音書』の謎を解く』には『ユダ福音書』の原典が注解付で載っています。まだざっと読んだだけですが、これは驚くべき作品です。

実は『ユダ福音書』に関する著作は以前図書館から借りましたが、あまり読めずに終わりました。そのときの印象と違います。荒井献氏の著作から受ける印象とも違います。

ところで、神秘主義方面の研究にはカバラの知識が絶対的に必要で、H・P・ブラヴァツキー(田中恵美子&ジェフ・クラーク訳)『シークレット・ドクトリン 宇宙発生論(上)』(神智学協会ニッポン・ロッジ、平成元年)にも理解を助けるために補遺「カバラについて」という解説が訳者である田中先生、ジェフさんの手で加えられています。

この邦訳書の初版が平成元年ですから、27年もチャレンジしては挫折を繰り返してきました。勿論、カバラに関する他の著作も読みました。

カバラから取り出された断片が数秘術として大衆的な占いにも利用されていますが、とにかく難解に感じられました。

それが、何と、憑きものがとれたようにわかりました。なぜこれまでわからなかったのか。わかりません。否。わかった気がするというべきでしょう。これに関しては別の記事にします。

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