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2013年8月24日 (土)

『はだしのゲン』は本当に名作なのか?

 学校図書室における『はだしのゲン』の閲覧制限が問題となっている。

Wikipedia:はだしのゲン

 中沢啓治作『はだしのゲン』は本当に名作なのか?

 わたしはこれまで『はだしのゲン』をちゃんと読んだことがない。断片的には読んだことがあり、被爆を描いた場面に限っていえば、問題となるものではないと考える。

 なぜ、全巻読まなかったかというと、絵が好みでなかったから。戦争をテーマとした漫画は少女漫画にもあって、それらは読んだから、あくまで好みで読む読まないを選択したということだ。

 夫も、絵が嫌いだから読まなかったといった。こうしたところ、感覚が似ている。読みたくなければ、読まなくもよい自由があるというのは、ありがたいことだ。

 ウィキペディアであらすじを見、また捏造とされている南京事件(通州事件とのすり替えがあるといわれている。Wikipedia:通州事件)をそのまま描写したような場面をネットで見るとき、複雑な気持ちになったが、わたしが疑問を持ったのは、名作といわれるこの漫画は本当に名作なのだろうか、ということである。

 何しろ、全巻読んだことがなく、ウィキペディアであらすじを見た雑感にすぎないのだが、いくら悲惨な被爆体験をしたからといって、主人公が裏社会と関わってその世界が長々と描かれるというのは、一般的な被爆者体験とはとてもいえないのではないだろうか。特殊な漫画だとすれば、あえて小中学校に置くべき漫画だろうか? そもそも、漫画は普通、学校には置かれない気がしていたのだが――。

 小学校のときに読んだ『チョウのいる丘』は、現在では絶版になっているようだが、白血病になった少女を通して原爆の怖ろしさが静かに伝わってくる、重いテーマながらも馥郁と薫る名作だったと思う。

 小学生の平和教育のためというのであれば、なぜ、あのような名作は絶版になるに任せておくのか? 

 余談だが、『チョウのいる丘』の著者である那須田稔氏は那須田淳氏のお父上みたいだ。大好きだった、世界の名作図書館所収『宝のひょうたん』(張天翼、講談社、1967年)の訳者も那須田稔氏だった……!

 この件でリサーチして知ったアニメーション作家、木下蓮三の『『ピカドン』は原爆の怖ろしさ、人間の命の尊さを純粋に訴えかけている優れた作品だと思う。

 アニメーションと絵本があるようだ。翻訳の必要もない、世界中ですぐに鑑賞することのできるこのような作品を学校教育に活用してほしいし、世界中に広めてほしい。

 以下はYouTubeより。アニメーション。

 ノーカット版は以下。

 絵本。

 高校を卒業するまでには、井伏鱒二著『黒い雨』、原民喜著『夏の花』をぜひ読ませてほしい。

 これらは第一級の純文学小説で、原爆投下前後の一般日本人の姿が淡々と描かれている。原爆の悲惨さ、戦争のむごさを感覚、感情にだけでなく、知性にも訴えかけてくる、気品を感じさせる作品だ。

 このような作家を持っていた戦前の日本が戦後の日教組教育で教えられてきたような鬼畜のような日本であったはずはないことが作品を通してわかる。

『はだしのゲン』が教育的効果を期待するには度を超した、日本人としてのアイデンティティーまで失わせてしまう劇薬であるのか、日本人としての誇りを失わせずに戦争について深く思索させる良薬であるのかは、ちゃんと読んでいないわたしにはわからない。

 ただ、日本の平和教育は世界でも類を見ない異常なものだと思う。日本に原爆が投下されたことについても、まるで戦争末期の日本人自らが自国に原爆を投下したかのような、おかしな教え方をする。

 いじめられっ子がいくら自分は暴力行為をしないと誓ったところで、周囲にいじめっ子がいれば無意味だ。現に日本に核ミサイルの照準を合わせている国があるというのに、攻められたら温和しく滅ぼされたいといっているのと同じだ。

 現代の戦争では、攻められてから攻める準備をしていたのでは全然間に合わない。世界史を少し勉強すれば小学生にもわかるはずだが、平和的で非武装の国ほど、あっけなく滅ぼされてきた。

 現在、日本の周辺は平気で威嚇してくる国々ばかりであるというのに、この期に及んでも、アメリカの核の傘に入って守られてきたのが日本の現実であるということを直視できないずるい、ご都合主義の人が日本には大勢いて、まるで風土病か何かのようだ。

 武力を行使することなく、戦争を回避するには外交力を発揮するしかないが、安倍首相が外交に力を入れていることまで左寄りのマスコミは皮肉る。

 現に日本には反日の人々が沢山いて、日本を売り渡したがっているということが、民主政権時代に国会での異様な答弁を通して、わたしは思い知らされてしまった。

 反日活動は組織的に、秘密裡に、カモフラージュして繰り広げられているようだ。

『はだしのゲン』は、韓国では全10巻3万セットを売り上げるベストセラーだそうだ。『はだしのゲン』現象からは、村上春樹現象と似た匂いがする。

 ところで、わたしは子供のころ、子守りの小母さんから、被爆者の看護に行ったときの生々しい話を繰り返し聴かされて育った。蛆と膿の臭いの話が子供のわたしにはこたえた。

 これも余談だが、蛆には医学的に有用なところがあるそうで、無菌蛆を使った治療法があるらしい(Wikipedia:蛆)。

 わたしの育った町に住む婦人の多くが、長崎から送られてくる被爆者の看護に行かされたという。長崎市へ原子爆弾投下された1945年、まだ子供だった母は行っていないだろうが、伯母たちは行っているはずだ。

 だが、わたしはその話を子守りの小母さんからしか聴いたことがない。伯母たちも看護にいったと彼女はいった。彼女以外の周囲の大人たちはなぜか戦争の話をしなかった。したくなかったのか、できなかったのか。その後、被爆者の治療をした町の外科医の回想を新聞で読んだ。

 そうした話を参考にして、わたしは婦人たちの被爆者看護の一場面を『銀の潮』という小説に織り込んだ。戦争がテーマの作品ではないが、小説は今年中か遅くとも来年までには電子書籍にしたいと考えている。

 ※参考記事

 ※参考動画

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