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2012年4月14日 (土)

再就職した夫の初出勤でした。定年退職後の夫の就活を振り返って「ああ今の日本にゾラがいてくれたら!」。

 同じ地域の方々もご訪問くださっているようなので、あまり詳しく書くと、勤務先がバレますから、ざっとご報告。

 初出勤の感想としては、仕事内容も勤務時間も求人票にあった通りの、定年後の仕事としては無理のないものだったということでした。といっても、研修中ということもあり、慣れるまでは覚えることもいろいろとあって、ちょっと大変だけれど……と夫はいいました。

 継続雇用になっていた場合と比較すれば、金額的には低くなりますが、仕事の内容からすれば、文句はいえないでしょう。また、継続雇用だと1年更新の契約扱いでしたが、この場合は正社員で65歳が定年。それ以降も本人が希望し、勤務態度に問題がなければ継続も可とのことです。

 ただこのご時世、先のことはわからないと考えて、それなりの用心や備えは必要だろうと夫と話しました。とはいえ、どう用心し、備えればよいのかがわかりませんが、8ヶ月間で身についた倹約精神を潤いがなくなってしまわない程度に保ち、わたしはプロになるための試みを続けたいと思ってます。

 職場はきちんとはしているけれど、想像したより堅苦しさのないフランクな雰囲気だったとのことですし、この仕事のために新しく購入すべきものも特になさそうで、その点でもわたしはホッとした次第。

 ざっと8ヶ月間のことを思い返すと、政府にいいたいことがいろいろとあります。雇用対策があまりにも手抜き、中途半端だと感じました。ポリテクにはありがたい面が色々とありましたけれど、結局企業とのパイプがなければ、そこで身につけた技能を就職に生かすことは事実上不可能です。あれだけの設備とシステムを備えていながら、まことにもったいない話だと思います。

 夫は運よく就職できたにすぎません。再就職が決まる前に落ちたのは、お猿さんで有名な公園の清掃作業でした。1人の欠員募集に、結構な人数が集まったのです。冬場は沢山求人の出ていた警備員の募集も、この時期には少なくなります。

 このままいけば生活保護の申請、下手をすればホームレスという現実に直面せざるをえませんでした。自然の地盤も経済の地盤も同じように不安定な今の日本では、誰もがそんな状況に陥る可能性があります。自分は財産がある、よい職に就いている、老後の蓄えが潤沢だ……というのはある意味で幻想にすぎません。

 現在の日本の問題を自分のこととして、そして自分だけがよければいいという考えは捨てて(結局はめぐりめぐって全ては自分に返って来ることになるのですから)、考えるべきときでしょう。

 清掃にすら落ちたときにもがっかりはしましたが(誰にでもできそうな清掃だからこそ、希望者が多いと考えるべきでしょうが……)、本当に奈落に突き落とされたような気がしたのは、長年勤め上げた職場から、継続雇用を匂わせるだけ匂わされて放り出されたときでした。

 期待させられなければ、もっと早い時期から準備ができたでしょう。企業がエゴをむき出しにできるのは、政治がそのように機能しているからです。

 加えて、夫の古巣は、現場では固まっていたアルバイトの話すら人事部に上がった段階で潰しました。しかし結果的には、冷たくされて、もっと人間らしい雰囲気の職場に行くことができたのですから、冷酷もときとしてはトリックスターともなるのだと感心します。

 わたしは夫の新しい職場が前職のような圧迫的な職場でないかどうかを一番心配しましたが、今度のところは伝統を感じさせるような場所で、職場の雰囲気も悪くはないようです。人が人を、人とも思わず、容赦なく使い潰すような商業主義一辺倒のような現在の風潮は、何とかならないものかと思います。

 貧しすぎては人は人らしくいられませんが、少しくらい貧しくても、人としての品位が保てる環境にあれば、日々の幸福感を損なわれるところまではいきません。新自由主義という経済思想が今の日本の思想であり、カラーとなっていることが第一の問題だとわたしは考えています。

 わたしはもう何年も前に『地味な人』という小説を書き、アメリカ型商業主義の弊害をテーマとしました。某文学賞で三次落ちしたその小説は、古いワープロで書き、感熱紙で印字したものしか保存できていないので、そのままにしておけば、消えてしまいます。

 幸い、過日購入したプリンタにはスキャン機能が備わっているので、そのうちブログにアップするか電子書籍にしたいのですが、あの当時に、わたしのようなネコ踏んじゃったの段階の作家志望ではなく、例えばゾラのような力のある作家が同じ問題を追究してくれていたならば、日本は変わっていたかもしれません。

 今だって、そうです。日本のプロ作家は何をしているのですか? 日本の現状を断片的に採り上げて、描写したり素材にしたりして、月並みな、あるいは猟奇的な小説に仕立て上げたりすることはできても、鋭く病巣を抉りとってみせるだけの脳味噌がありますかしら? 

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