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2012年3月10日 (土)

瀕死の児童文学界 ⑤自称ユング派とファンタジー、児童文学との結びつき

 これはまだメモ段階にすぎない。調べ出したら、次々と新しい情報が舞い込んできて、ショックを受けることばかりだ。まとまったものに仕上げるには、かなり時間がかかるだろうと思う。

 梨木香歩と児童文学ファンタジー大賞、児童文学ファンタジー大賞と絵本・児童文学研究センター、絵本・児童文学研究センターと河合隼雄[故人]、河合隼雄と村上春樹と辿っていったとき、村上春樹現象は河合隼雄と切り離せないものであり、今の日本のファンタジーが河合隼雄と切り離せないという事実が見えてきた。

 絵本・児童文学研究センターは、ホームページによると、「生涯教育として、児童文化(絵本・児童文学など)の研究をしている機関です」とあり、故河合隼雄はこの機関の名誉会長とあった。

 児童文学ファンタジー大賞はこの機関の各種事業のうちの一つで、梨木香歩はこの賞の第1回の大賞受賞者である。受賞作品は『裏庭』。

 美しい筆致に息を呑むが、物語を追っていくと内容的には児童文学というよりはもっと年齢がいった男女向きのライトノベル、ファンタジー――ホラーがかった――といった作風である。

 河合隼雄と梨木香歩とが師弟関係にあったことを考えると、独特の饒舌やイメージのきらびやかなまでの豊富さ、深層心理に分け入ってそれを恣意的な解釈のもとに映像化したような作風にも納得がいくし、村上春樹が河合隼雄の影響を受けた可能性を考えると、梨木香歩と村上春樹の作風の類似にも納得がいく。

 河合隼雄は、饒舌で恣意的な、学者らしくない学者であったとわたしは思っているからである。しかし、彼が日本の文学界に及ぼした大きすぎる影響と影響の及ぼしかたを考えると、それは宗教に近い。

 ユングに熱中したのは大学時代だから、もう30年以上も前のことで、わたしが最初に河合の名を知ったのは、ユングの著作の翻訳者としてであった。その後、河合本人の著作を数冊読んだが、ユングとはまるで違うという印象を持った。それは、わたしがその頃にやはり関心を持って今もその関心が続いているブラヴァツキー[神智学協会の創立者で、近代の神秘主義復活運動の母]の理論の組み立てかたとその後継者の一人であったリードビーターのそれとがまるで違うと警戒したのと似ていた。

 ユングは神秘主義から多くを採り入れた人である。ユングの場合、彼がどんな考えのもとに資料を参考にして独自の理論を打ち立てていったのかを辿ることが可能なのだが、河合隼雄の場合はそれができない。だから、わたしは恣意的な自称ユング派の学者だと思ったわけだった。

 ブラヴァツキーの場合も、参考資料がきちんと書かれており、思考の道筋を辿ることができるのである。リードビーターの場合はそれができない。リードビーターを自分のなかで空想的神智学者と位置づけて以来、わたしは彼のものをほとんど読まなくなった。河合隼雄の本――河合が翻訳したものを除く――が家にないのも、同じような理由からだ。

 ユングのもので今も家にあるのは、

カール・グスタフ・ユング
河出書房新社
発売日:1975-09

C・G・ユング
人文書院
発売日:1976-04

 だから、河合隼雄が児童文学に関わっていた事実を知ると、当然ながらわたしはショックを受けたし、また彼の影響を調査する必要があると思ったのだった。しかし、一介の物書きの卵にすぎないわたしには手にあまる仕事である。河合隼雄の代表的著作を読むだけでも……。

 ところで、絵本・児童文学研究センターの各種事業には、基礎講座プログラム(児童文化講座)があり、講座については、ホームページに「講座の内容は、生涯学習の一環として、多様な児童文化の世界を模索したものでございます。そのため、本講座では心理学や哲学的観点をも取り入れて、全54回にわたる講座を行っております。会員の年齢構成は20~80歳代、今までに2,000人以上の方々が受講しております」と書かれている。講座を通して、思想的な影響を受けた男女がかなりの人数いるというわけである。

 また、絵本・児童文学研究センターの各種事業には、聴き慣れない児童図書相談士検定というのがあるようだ。読み聞かせと関係があるのだろうか?

 読み聞かせの流行に、わたしは以前から疑問を持っていた。昔はそうしたことは個々の家庭に任せられていたからであるし、わたしはあまり読み聞かせられた記憶がなく、それでも本好きになったからだった。それに、なぜ、紙芝居ではなくて、絵本なのか? 

 絵本を売るための読み聞かせではないのか? 絵本にひたる子供の自由を読み聞かせが奪っているといったデメリットはないのか。そんな疑問がどうしてもわいてしまう。

 続きを書くには、時間がかかりそうです。

 それにしても、日本児童文学者協会の会長に、以下のようなタイトルの児童文学の著作のあることがわたしには納得できない。仮にどれほど内容がよいものだとしても(ミステリーだろうか?)、このタイトルだけで、不信感を覚える。

 コンクールを前面に出した講座案内を送りつけてきたのは、この協会だった。この協会はウィキペディアによると、「児童文学の普及運動と主とする児童文学者団体である。社団法人であり、文化庁(文化部芸術文化課)の監督下にある公益法人である」ということだ。

 そういえば、河合隼雄は元文化庁長官だったっけ(絶句)。

○当ブログにおける関連記事

2009年6月 6日 (土)
評論『村上春樹と近年のノーベル文学賞作家たち』
http://elder.tea-nifty.com/blog/2009/06/post-40a4.html

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