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2011年6月17日 (金)

今日の国会中継(参院復興特別委2011.6.17)……「日本は法治国家である」という意識が欠落している菅首相と枝野官房長官

 NHK「ニュース7」で、福島第一原発では、「たまり続ける汚染水を浄化したうえで原子炉を冷やす循環注水冷却を近く始め、今後1か月で原子炉の安定的な冷却を目指す」と報じていた。何しろ11万トン以上たまっているというのだから、厄介なたまり水を減らし、原子炉冷却を安定させるという一石二鳥の働きをしてくれそうなこの汚染水の浄化装置がうまく働くかどうかが事故の終息の鍵を握ることになるのだろう。この浄化装置は、日本、アメリカ、フランスの技術を持ち寄った特注品で、試運転の段階で何度もトラブルが起きているらしい。菅政権のもたもたぶりを見てきた限りでは、日本だけでは心許ないが、アメリカとフランスが見守ってくれているのだから、何とかなりそうな気がしてきた。

 冷温停止は来年1月中旬を目標としているという。

 菅首相が今日の国会答弁で、福島第一原発の処理に関する特別な法律体系を作って、国が廃炉まで責任を持つという法律の整備を検討しているという考えを示した。

 脱原発に関しては、まずは自然エネルギーを育てることが先で、それが軌道に乗るかどうかを見て、うまくいくようなら何年か後に国民の選択があってもいい――と、珍しくまともなことをいっていたので、ひとまず胸を撫で下ろした。

 法治国家日本としては法整備が大事というのは当然の認識のはずだが、野党は菅政権に東日本大震災のすぐあとから、法整備の必要性を口をすっぱくして促してきた。促さなければ、彼らは懇談会だの会議だのを楽しんでばかりいて(としか思えない。そういったことにも税金が使われているはずだが)、いっこうに法整備へと舵を切ろうとはしないのだ。

 今日も、自民党の川口順子氏が切れて、「こんなの、法治国家ではありませんよ!」と菅首相を責めた一場面があった。

 それは、前掲の「ニュース7」でも、「ニュースウォッチでも」採り上げられた汚泥処理に関する一件でのことだった。ここで、過去記事から引用しておきたい。

2011年6月 2日 (木)
内閣不信任案、可決か否決か?
http://elder.tea-nifty.com/blog/2011/06/post-e6c3.html

党首討論での自民党の谷垣総裁は、わかりやすく、なぜ菅総理では駄目なのかを説明した。

日頃、国会中継を観ない向きにはわからないだろうが、菅総理がトップでは瓦礫の処理一つ進まないのだ。

業を煮やした川口順子氏が5月13日の参院予算委で「瓦礫を片付けないと復興はできないんですよ、菅総理」といい、そのための法整備を促してから半月以上が経過してもなお、昨日の党首討論で谷垣総裁が「瓦礫」のことをいっていた。

また「薔薇色の将来像を描くのもいいが、被災地の現実から見れば、やっぱり前払い金、仮払い金でも早く届くことが必要」ともいっていたが、この被災者に前払い金、仮払い金を急いで届けるようにとの提案も、東日本大震災後の国会で何度もなされてきたことだった。

 呆れたことに、今日の国会でもデジャヴ……また同じような場面が繰り返されたのだ。仮払い金、仮設住宅の件は相変わらず進んでいないようだが、川口氏が現在注目を集めている汚泥処理について質問していたので、それについて採り上げておきたい(断片的なメモだが)。

川口氏「放射能によって汚染されている下水汚泥処理の方針がようやく出されたことは評価されるが、もっと早くしてほしかった。1日に2万トン。強いものは10万ベクレルを超えている。範囲は16都道府県にまたがっている。指針は指針として、これからどうなるのか。市町村はこの指針を受けて、どういう対応をとるのか?」

国交大臣「10万ベクレル以上は保管。10万~8,000ベクレルは保管、検討後に埋め立て可能。8,000ベクレル以下は埋め立て可能」

川口氏「今のは前の質問の回答だが、市町村はこれを業者に委託して持っていって貰うのか?」

国交大臣「基本的にそうなる」

- 途中省略 -

川口氏「放射性物質によって汚染された下水汚泥については、廃掃法(廃棄物処理法)が適用されるかどうかわからないということか?」

菅首相「それについては気になっている。現在カバーする法律体系ができていないから、何らかの法律体系を作る必要がある。今検討中だ」

川口氏「新しい法律を作るということか? イエスかノーで」

菅首相「今すぐはできないから、方向性を定める」

川口氏「指針は既に出ている。あとは法律を作るということを考えるしかないが、法律がなくてもどういう場合だと可能なのか?」

枝野官房「原子力災害本部の権限で」

川口氏「法律がなかった場合は、どうやって対応できるのかということを伺っているのだ。法律がなければ、不法投棄を止められないということを総理は認識しているのか?」

菅首相「大規模だから方針を決める」

川口氏「全然わかっていらっしゃらない。方針は出ている。市町村に通達されようとしている。作業は始まろうとしている。実害が起こってからでは遅いのですよ。誰かが法律に基づいてチェックをする必要があるのに、法律を作ろうとしない。こんなの、法治国家ではありませんよ!」

枝野官房「法律があったほうが望ましいが、行政指導でできる」

川口氏「埋め立て場所が見つからない。引き取り手がない。自治体の悲鳴が出てきている。総理は不法投棄の場を見に行ったことがおありか? 一刻も早く法律を作ってほしい」

菅首相「法律の不備がある場合は、行政指導でやるしかない。法律が必要でないとはいっていない」

川口氏「1日も早く、これに関する法律を作るのがリーダーシップだ。これでは都道府県は浮かばれない。法律を必ず作りますとおっしゃってください」

菅首相「法律案は作るから、国会の審議で通るように協力してほしい」

川口氏「同じ瓦礫の処理も伺おうと思ったが、時間がない。これも、国が全面に出なくてはいけないと思う。リーダーシップで、棄てるところを探すよう命じてほしい。命じられたら、彼らは一生懸命探しますよ」

 視聴していて、脳味噌が腐りそうになった。復興が進まないのは、菅政権が必要な法律案を作らないからなのだ。同じ自民党の愛知治郎氏は、「野党に転落して我々もしっかり反省すべきところは反省しなくてはならないと思う。だが、国会議員に一番できるふさわしいことは対策案を練ることで協力することで、これまで800を超える対策を提言してきた」といった。

 何だか、文学賞に作品を出せども出せども棄てられるだけのわたしみたいな話だった。野党とは哀しいものだ。実務に長けていればいるほど……。 

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