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2011年3月 9日 (水)

Notes:不思議な接着剤 #73 エッセネ派

Notes:不思議な接着剤は、執筆中の自作の児童文学作品『不思議な接着剤』のための創作ノート。

#73
2011/3/9(Wed) エッセネ派

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 昨日『レンヌ=ル=シャトーの謎』の著者3人のうちの2人の著者による『死海文書の謎』(マイケル・ベイジェント リチャード・リー共著、高尾利数訳、柏書房)を買った。まだパラパラとめくってみた段階だが、この中にはブラヴァツキーを通した世間への神智学の影響についても書かれている。

 ブラヴァツキーの影響そのままというより(彼女の論文は博学すぎて直接の影響を受けることは案外難しい。彼女の論文を読みもしないであれこれ神智学のことをいう部外者がいるが、大抵デタラメ)、やや空想寄りの神智学者の影響であるようだ。

 神智学者といえる人でさえ、ブラヴァツキーの論文を正しく反映させえた人は殆どいないように感じられてからは、わたしはブラヴァツキー以外の神智学者の著作が読めなくなってしまった。神智学協会は完全な民主主義制をとっていて、会長も選挙で決まり(わたしにも選挙用紙が来た)、一人一人が自己責任において独立した研究者の立場なのだ。

 話が横道にそれた。この『死海…』を読み終えたらまた考えが変わるかもしれないが、死海文書とエッセネ派が結びつけられているようで、もしそうなら、やっぱりそうかと思わざるをえない。

 死海文書の出現を待たなくても、イエスと同時代に生きていたヨセフスの『ユダヤ古代誌』『ユダヤ戦記』を読めば、イエスがエッセネ派のような団体を背景にしていることは明らかで、イエスはそこで得たものを生かして説教したり、新しい団体作りをしたのではないかと想像できるからだ。

 あまりに似ているのだ。

 これは『死海…』を読み終えず、あの時代の知識も乏しいわたしの単なる想像にすぎないが、エッセネ派で秘密の教えとされたものの一部をイエスは大衆に伝えようとしたのではないだろうか。だから、「神の国は近づいた」のだ。イエスのその動機としては、ユダヤ人が置かれた当時の状況の過酷さだ。

 そして、本当に高度な秘密の教えはそれを受ける資格のあるマグダラのマリアだけに伝えた……そのことがペテロの嫉妬を買った。わたしには、グノーシス文書『マリアによる福音書』からはそう読める。

 そしてもし、ブラヴァツキーのリサーチの結果が正しかったとしたらだが、エッセネ派はピタゴラス派といってよいくらいの集団で、また「熱烈な伝道者アショカ王以来の」仏教の影響が考えられる(ここで、中世の異端カタリ派が西欧の仏教徒と呼ばれることを思い出しておきたい)。そもそも、ピタゴラスからしてインドの影響がいわれている。

 東西の思想的分裂は、キリスト教というよりパウロ教の御伽噺があらわれるまではなかったのかもしれない。少なくとも、今のような形では。

 しかし、ブラヴァツキーのいう……エッセネ派のピタゴラス色は、仏教徒の伝道師たちによって思想体系が完成されるというより、むしろ崩れていった、というのは何を意味するのだろう? プリニウスによると、仏教徒の伝道師たちは彼の時代(プリニウスは23 -75 年頃)よりずっと前に死海の畔に住み着いていたそうだ。

 しかもブラヴァツキーは、イエスは厳密にはエッセネ派とはいえないという。イエスの実像は『コーザル・ナザレウス』の中のグノーシス派のキリスト教哲学者バルデサネス派の不当な非難の中に見い出せるかもしれないという言葉は、謎のように響くが、要するにイエスは改革者だったということだろう。

 確かに、新約聖書には、急進的に見えるところもある。エルサレムに着いたイエスの神殿でのちょっと粗暴といえるような振る舞いなど読むと。

 プリニウスの『博物誌』を、夫が図書館から借りてきてくれるそうだ。

 昨日書店で娘が京都大学学術出版会のパンフレット「西洋古典叢書」を手に取り、「これ、もらっといたら?」といった。

 おお、ブラヴァツキーが引用していたポリュビオス『歴史』が入っている。それに、今取り組んでいるテーマとは関係ないが、神智学徒としてはピロストラトス『テュアナのアポロニオス伝』は、どうしてもほしいなあ。図書館検索でなければ、娘にこの『アポロニオス伝』買って貰おうかしら。誕生日の贈り物を保留しているので。娘が買ってくれるといっているアクセサリーよりは安いし。3,885円。百年文庫と今回の『死海…』の出費で、手が出ないから。まあ、図書館検索が先だ。

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