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2011年3月22日 (火)

Notes:不思議な接着剤 #75 ピュタゴラスの最期。プトレマイオス王とエウメネス王の蔵書競争。

Notes:不思議な接着剤は、執筆中の自作の児童文学作品『不思議な接着剤』のための創作ノート。

#75
2011/3/22(Tue) ピュタゴラスの最期。プトレマイオス王とエウメネス王の蔵書競争。

図書館から借りてきた本を返却しなければならないので(また借りるつもりだが)、以下にざっとメモ。

○ゲルショム・ショーレム『カバラとその象徴的表現』(法政大学出版局)

27頁

“12世紀の末、ラングドッグの地に最初のカバラ思想家たちがユダヤ教の歴史舞台に登場した頃”

とあり、ここではっきりとラングドッグの地名が出てくる。

原田武『異端カタリ派と転生』(人文書院)によると、ラングドッグで栄えたカタリ派の信者200人あまりがモンセギュールの麓で火刑に処せられたのは1244年で、このときに組織として事実上の壊滅した。カタリ派について“十一世紀初頭ぐらいから西欧に広まるキリスト教の異端思想である。”
箱崎総一『カバラ』(青土社)に、“ナルボンヌには5世紀頃からユダヤ人居住区があった。”とある。
これまで見てきたように(ヨセフス『ユダヤ戦記』『ユダヤ古代誌』)、イエスがエッセネ派に接触した可能性は充分あり、エッセネ派とカバラは関係がある。エッセネ派、グノーシス、カバラが切り離せないことからしても、カタリ派の教義が無関係とは到底思えない。

○デイヴィッド・ビアール『カバラーと反歴史 評伝ゲルショム・ショーレム』(晶文社)

53頁

“クロホマルはまた、ショーレムに先んじて、彼が明らかにもうひとつの正当な思弁的哲学と考えていた、グノーシス主義とカバラーの顕著な類似性を明示してもいる。両者は、隠れたる神や神の属性の原質化のような観念を共有していた。ショーレムがこれらの示唆された類似性を、ユダヤ教グノーシス主義の持続した形態として一貫したカバラー理論へと敷衍したことを、われわれは見ていくつもりである。”

ブラヴァツキーはエッセネ派はピュタゴラス派であり、死海の畔に居を構えていた仏教徒(プルニウス『博物誌』)の影響を受けたという。エッセネ派が仏教的であり、グノーシス文書に見るマグダラのマリアがイエスから受けたとされる教えが仏教的であり、カタリ派の教義が西欧の仏教といわれたことを考えてみると、原始キリスト教が仏教的な色彩を帯びていたとしても不思議ではない。

そもそも、ピュタゴラスの思想があまりにも東洋的なのだ。ブラヴァツキーは“口伝によればオルフェウスはインドから彼の教義を持ってきた人であり、最古のマギ派の宗教を信奉した者”という。
イアンブリコス『ピュタゴラス伝』よると、ピュタゴラスの死後、ピュタゴラス派は口伝衆と学科衆に分かれた。学科衆を受け継いだのはプラトンとその弟子たちだ。プラトンの描くソクラテスには、口伝衆の面影がある。
前掲著『ピュタゴラス伝』を読むと、ピュタゴラス派とオルフェウスは無関係ではありえない。以下は注より。

“紀元前七世紀に黒海とギリシアとの交易が開かれたため、スキュティア、トラキアでギリシア人はシャーマニズムに接触し、そのさいオルペウスもシャーマンとしてギリシア世界に紹介された。しかし、オルペウスがギリシア化される過程で、シャーマン的性格は剥奪され、合理化された。”
“オルペウスの教義でもっとも有名な魂の転生は、古典期には確証されていない。しかし、魂は前世での罪ゆえに、現世で肉体という牢獄に閉じ込められ、罰せられている、ということから転生は容易に推論できる。これらとピュタゴラス派の教義の一致は偶然ではない。南イタリアにオルペウス文書を奉ずるオルペウス教がすでに根を張っているところに、ピュタゴラス派が入ってきたからである。”

何にしても、イアンブリコス『ピュタゴラス伝』には驚くほどいろいろなことが書かれているので、丁寧に読んでいく必要がある。

○イアンブリコス『ピュタゴラス伝』(国文社)

できればこの本はほしい。4,500円+税。何回も図書館から借りてくることになるだろうから。資料的価値としてもすばらしいし、面白さに取り憑かれる。天球の音楽、懐妊期間の算出法など、あまりにも印象的だ。この本には補遺として、ポルピュリオス『ピュタゴラス伝』まで収録されているという贅沢さなのだ。

ピュタゴラスの最期について。注より。

“(略)ピュタゴラス派への権力の集中、高踏的な態度への反発から、紀元前六世紀と五世紀の境目あたりで、キュロンを中心とする反乱が起こった。ピュタゴラス派の指導者たちが殺され、ピュタゴラスもメタポンティオンに逃れて、ムーサの神殿に退避し、そこで餓死した(ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』第八巻四○、ポルピュリオス『ピュタゴラス伝』五七)といわれている。” 

○プリニウス『博物誌』

全訳は、県立図書館で読まなくてはならない。借りられるのは植物篇、植物薬剤篇のみの訳だが、これにも既に取り憑かれた。

植物にかんする興味深い記述もさることながら、歴史的エピソードが絢爛豪華に散りばめられているのだ。

例えば「パピルス紙の発明」に、“プトレマイオス王とエウメネス王の蔵書をめぐる競争のために、プトレマイオスが紙の輸出を止めたので、ベルガモンの羊皮紙が発明された。”というようなあっと驚くエピソードが何気なく挿入されている。

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