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2010年5月14日 (金)

13日に、循環器クリニック受診

 受診が8日も遅れたにも拘らず、御咎めはなかった。尤も、脈をとられると、もし薬を飲んでいないとバレる。脈が正常だと、先生は何もおっしゃらない(こともある)のだ。

 他のことに、先生の気を逸らしたということもあった。

 わたしは先生の前でお薬手帳を開いて、レッドクロスの消化器内科で出して貰った胃薬パリエット、ガスモチン(ガスチモンといい間違えた)、呼吸器クリニックで出して貰った湿疹・アレルギーの薬タリオンを読み上げた。

 早口で、レッドクロスの消化器内科で大腸ファイバーと胃カメラを受けたこともご報告。そして先生に口を挟む隙を与えずに、整形外科で過形成だと思われていた両膝の凸が――普通は多発しないはずの――頭蓋骨に出来た骨腫と同じ骨腫瘍に間違いないだろうといわれたことを強調気味にお話しした。

 すべて、8日も受診が遅れたことから先生の意識を逸らすため(ああ疲れた! 何やっとんのかね、わたしは)。

 先生は、わたしのお薬手帳をとり上げて見入っていらした。勝手にあちこちにかかっていらぬ薬を飲んでいる、と疑われたのかもしれない。

「おなかがあまりにパンパンに張るもんですから、整形外科でかかっているレッドクロスで胃腸も診ていただいたんです」と、さらにいいわけした。先生は、わたしの胃腸の働きが鈍っていることはご存知なので、無駄な検査を――とは思われたに違いないが、このわたしの行動は意外でもなかったご様子。

 胃腸の件では、「ガスチモンではなくて、ガスモチンだね」と薬名を訂正なさっただけで、何もおっしゃらなかったが、何か確認をとるような無言のムードがあった。そして話題を転じ、「タリオンは、僕も毎日、飲んでいるよ」と先生。「へえー、そうですかぁ」とわたし。先生と湿疹仲間になるって、変な気分。

 いつもの脈拍、胸のあちこちに聴診器。目が腫れていると、なぜか先生は目を押し広げて上を見るように指示といった、目に関する一切の診察をなさらない。たまたま、そうだっただけなのだろうか。何にしても、この日もわたしの瞼は腫れていた。「どうしても、発作が起きるねー!」と先生。「はい。どうしても、何回かは起きてしまいます」とわたし。

 そのあと、その時間帯にたまたま患者さんが少なかったということもあり、看護師さんも一緒に骨腫瘍の話題に興じた。

 興じた、というと語弊があるが、ユニコーンのような骨腫の写真を脳神経外科で見せて貰った話が、先生と看護師さんに受けたのだ。受けた、などというと、これも語弊があるが。お二人とも、驚きのお顔。

 そして、先生がふと思い出したように、「そういえば」とおっしゃった。「Nさんに似た症状の人を知っているよ。その人は顔がぼこぼこになっていたっけ。原因がなかなかわからなくってね、今もわからないままなんだ。Nさんと同じように、めったにない症例だそうで、外国に例があるくらいのもので……。その人は、心臓ではなくて、別の病気でかかっていたんだけれどね」と先生。

「ええっ、顔がぼこぼこですって!」とわたし。聞けば、聞くほど、わたしと似ていた。その人も女性で、何と50歳くらいだという。

「そのかたは、どちらの整形外科にかかっていらっしゃるんでしょう?」とわたし。先生は、ちょっとあやふやそうに「医大……。ただ、その人の腫瘍は、境界線がわかりにくい、平べったい感じだから、Nさんとは違うかもしれない。でも、とにかく珍しいものなんだそうだ」と先生。

「その腫瘍は、とても硬いんでしょうか?」とわたし。「うん、硬い」と先生。

「骨腫瘍にもいろいろとあるみたいですが、そんなに硬いんなら、わたしと同じじゃないかしら。顔がぼこぼこって……わたし、そんなになったら生きていけません。ああ、今夜そのことを考えて、心臓の発作を起こしそう!」というと、「ちょっと……そんな」と先生。看護師さんも横から、「ニトロを多めに出していただいたほうがいいんじゃありませんか」と、気の毒そうにおっしゃる。

「いやいや、Nさん。そんなに心配しなくてもいいと思うよ。その人は、生検のために一番目立つものをとったら、見ただけではわからなくなったんだ。触れば、まだあちこちにあるんだけれどね。ひょっとしたら、他の腫瘍はだんだん縮んでるんじゃないかと思うくらいでさ。だから、Nさんも大丈夫だよ」と先生。わたしは、疑わしい目を先生に向けた。

「どれ、見せてごらん」といって、先生はわたしの頭、額、両膝、耳の後ろの腫瘤を全部触診なさった。「額はまだ目立たないよ。頭の窪み、これは……。右膝には出ているのがあるね。左膝の下辺りにも、確かにいくらかだけれど、盛り上がりがある。半年に一度しか診て貰っていないの?」と先生。「はい、今は。撮りすぎても、被曝の心配があるということで……」

 しかし、何かあればいつだって、整形外科の先生に電話したり行ったりしていいといわれている。

 内科で続けてきた副甲状腺の経過観察のことなども話したあとで、「先生。どなたか、こうしたことに詳しい整形外科の先生をご存知ありませんか?」とわたしは訊いた。顔がぼこぼこ、という先生の言葉が耳を離れないままに。

「Nさんの整形外科の先生はK大だっけ?」と先生。「確か、そうです」とわたし。「じゃあ、そのK大系列にそんな先生がいるかどうかということだね。訊いてみたら、いいよ」と、親切そうな、ちょっと哀しそうな先生の口ぶり。

 やはり、系列ということがあるのだ。「もしご存知でしたら、すでにご紹介くださっていると思うのです」とわたし。「そうだね。整形外科か……」と思案するように、先生。約束はされなかったが、あたってみるよ、という表情をなさった。

 その夜、考えてみればみるほどに、先生のおっしゃった、顔がぼこぼこの女性というのはわたしのことではないかという気がしてきた。

 カルテで確認をなさらない限りは、先生の過去の記憶にはあやしさが混じるのだ。現に、わたしは先生の記憶のなかでは、長崎に住んだり、長大に入院したりしていたことがあった。

 今のわたしは幸い、顔がぼこぼこではないが、額に小さな腫瘤があり、手術した頭の窪みは相当なものだ。膝の腫瘤には平たい出っ張りもある。おしゃべりなわたしのことだから、骨腫の多発の珍しさや、アメリカの論文のこともお話ししたに違いない。

 過去にお話ししたそんなこんなが、先生の頭のなかで、別の患者像を創り出してしまったのではないだうか? 真相はわからないが、わたしの大袈裟な物言いが先生をちょっぴり怯えさせたのかもしれないとも想う。いつだったか、わたしが服につけていた女性の顔だけのブローチが、先生を怖がらせたこともあったくらいだから。  

  • インデラル錠10mg ⇒ 1日3回、毎食後、40日分
  • ヘルベッサーRカプセル100mg. ⇒ 1日2回、朝・夕食後、40日分
  • アイトロール錠20mg ⇒ 1日2回、朝・夕食後、40日分
  • シグマート錠5mg ⇒ 1日3回、毎食後、40日分
  • ニトロペン舌下錠0.3mg⇒胸痛発作時10回分
  • リンデロン-VGローション全20ml  塗布

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