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2009年6月30日 (火)

本日観る予定の2本の映画と先日観た『懺悔』。『ジーンズの少年十字軍』について。

今日はココログがメンテナンスで、その時間が過ぎても記事が反映せず、朝書いた記事を昼間外出中に携帯から投稿していたのですが、結局帰宅後(午後10時)、再投稿しました。で、これを書いている今は、映画2本を既に観ています。それについては、記事を改めて、また。

 いつも年2回(春と秋に1回ずつ)行く予定にしているコンサート・オペラ・バレエ・能楽(などから選択)。春にアルゲリッチを聴きたいと思いつつ行けなかったのですが、それを埋め合わせてくれるかのようにシネマ5で名作の目白押しです。

 『フロスト×ニクソン』『ダウト』『懺悔』を既に観ました。

 『懺悔』はグルジア映画。重厚な作品でした。大学の頃に『ピロスマニ』というグルジア映画を観て圧倒されたことがありましたが、グルジアはよい映画を作る土壌として有名だとか。確かに、そうした伝統の薫りを感じさせられます。

 煮た魚を食べているだけのシーンをあれほど気持ち悪く描けるとは……魚はキリスト(ハリストス)の象徴とされていますが、そうした象徴でしょうか。食べていたのは、神父になりすました悪魔でしたから。悪魔は、スターリン主義による市民弾圧を暗示しているようでもあり、映像の世界を、ロシア正教を核とした文化が裏でがっちりささえていました。おどろおどろしい、それでいて滑稽であり、時折はっとさせる美しさのある映画でした。

 空中に人形の浮かぶ場面では、シャガールの絵画を連想しました。

 全てがヒロインの白昼夢ともとれる極めて観念的、哲学的な、人間という存在の根本にあるものが何であるかを執拗に問いかけてくる世界は、ドストエフスキーの文学を髣髴させました。あの映画が何を意味していたかということより、映画を通じてグルジアの何といいましょうか、こくのある優雅なところのある、とても個性的な文化に触れられたことが新鮮で、観てよかったと思いました。

 テオ・アンゲロプロスのギリシア映画『エレニの旅』とどこかしら似た雰囲気が漂っていたのは、同じ正教の薫りがあるからでしょうか。

 今日観る予定の映画は、アフガニスタンのバーミヤンを舞台とした『子供の情景』とアメリカのベストセラー小説を映画化した『リリィ、はちみつ色の秘密』です。

 どちらにするか娘と迷いましたが、わたしの体調もよいので、どちらも観ることに。ノルウェー映画『ホルテンさんのはじめての冒険』は見損ないました。娘と職場が同じで、大学も同じ市立大だった青年は観たそうで、よかったとか。このあと、『マリア・カラスの真実』を観ることができたら、それで今回の私的映画ブームは終息します。

 テア・ベックマンの『ジーンズの少年十字軍』は歴史の闇に踏み込んだ手応えのある児童文学作品で、なまじな感想では済ませたくない気がしてきました。歴史学者、阿部謹也著の『ハーメルンの笛吹き男』で描かれた世界とは13世紀ドイツという背景柄、重なる部分があり、再読しているところです。

 『ハーメルンの笛吹き男』によると、伝説のもととなった、ハーメルン市で子供たち130人の失踪が起こったのは1284年6月26日〔ヨハネとパウロの日〕とされています。最古の記録は教会のガラス絵に残されていた次の文面。「ヨハネとパウロの日(すなわち6月26日)にハーメルン市内で130人の者がカルワリオ山の方向(すなわち東方)へ向かい、引率者のもとで多くの危険を冒してコッペンまで連れてゆかれ、そこで消え失せた」〔関連記事:http://elder.tea-nifty.com/blog/2006/09/post_8645.html

 『ジーンズの少年十字軍』で、20世紀のオランダ生まれの15歳の少年ドルフが、タイムマシーンで、ドイツのシュピールスという都市の郊外に降り立ったのは、1212年の洗礼者聖ヨハネの日で、両者には70年以上の開きがあるのですが、両者に描かれた問題には共通する部分があるのです。

 ハーメルン市における子供たちの失踪については諸説あり、それには植民説、少年十字軍という説が含まれています。少年十字軍というと、どうしても口べらしというような苦しい生活事情とか、あるいは奴隷売買という大人の犯罪行為が想像されてしまいますが、『ジーンズの少年十字軍』は奴隷売買という観点から書かれています。

 両著書で、サンタクロースのモデルとして知られる聖人の遺骸が小アジアからイタリアに移された出来事が出てきますが、『ジーンズ』ではそれが効果的に使われていて、わたしは思わず「うまい!」とベックマンに拍手してしまいました。

 『ジーンズ』については、しばらくはメモをとることが続きそうで、感想を書き終えるには時間がかかるでしょう。生者と死者が出てくる舞台劇風の自作小説も進めなくてはなりません。

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