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2008年1月22日 (火)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第89回

「これは一種の革命理論となるが、わたしの大望が成就するためには、国境を超え、クニを超えた構成員が必要である。クニや国といった囲いから飛翔できる人間だけが、構成員になれるのだよ。

 このクニの大人(たいじん)階級に生まれ、蝶よ花よと育てられたそなたの頭には、所詮、入り込めない思想かもしれないが。

 クナ国には、クニや国の意識どころか、女の意識すらも超えた、まさに両性具有さながらの、至純といったタイプ女人が結構あるのである」

 その両性具有に近い至純タイプの婦人たちに嫉妬心が兆したわたしは、
「わたしだって、これでも、おとめの頃は男の子顔負けでしたのよ。ウリボウを捕まえるのが上手でしたし……」と言いかけ、ふいにそんな自分に気づき、慄然として言い澱みました。

「一体、女王連合国を支えてきた理念の何処に、間違いがあったとおっしゃりたいのでしょう?」

「女王連合国の指導理念に違いがあったと思っている訳ではない。先王(せんのう)が実現しようとしたことはすばらしい。わたしとて、十二分に評価している」

「それでは、なぜ……? 物事は一朝一夕にはなりませんでしょ」

「女王の代になって、その理念が奇妙に物質がかり、しかも世俗離れの様相を呈してきたからだ」

「おっしやる意味がよくわかりません。雅を貴ぶことがいけないという意味ですの?」

「あたりまえの人間は、世俗に生き、世俗に死ぬのだということを忘れてはいけない。

 先王は超俗していても世俗を忘れなかった。女王は俗人であるのに――俗人だから、と言うべきか――世俗を熟知しない。

 先王は聖人であったが、女王は女司祭、女学者、趣味のよい俗人にすぎないのだ」
                                                〔

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