« 昨日の夕飯(バルサミコ酢を使った鶏胸肉料理、小えびとブロッコリーの料理) | トップページ | 整形外科、欧風料理店(ロートレックに描かれたジャヌを想う)、パルコを梯子の一日 »

2006年11月 8日 (水)

『返り咲いた薔薇』は構築した序を点検中、パムク氏は165頁&お詫び

 午前中、急に体調が崩れ、本日の大半の自由時間がふいになり、焦ります。が、焦っても埒が明かないので、落ち着いてゆっくり事を進めなければ……と考えています。

 このところ体調良好、このまま健康体に戻れるかと錯覚したくらいでしたが、午前中『当サイトで……』『本日の俳句……』をアップしたのに続いて料理の記事を書いている途中、急に気分が悪くなりました。

 眩暈、左手の痺れ、喉の詰まり、吐き気がありました。まだ飲んでいなかった朝の薬インデラルとヘルベッサーを飲み、ニトロのテープを貼って、休みました。起きたら午後3時を回っており、慌てました。

 ですが、気分はよくなっていて、今は良好です。

 同人雑誌に提出したいと考えている短い小説『返り咲いた薔薇』は25日までに60枚は書きたいのですが、どうでしょうか。現在、序破急の序をトンカチで叩いたり、ゆすったりして、うまく破へつなげられるかどうか、点検中です。

 できれば今日中に未踏の破の大陸に華麗に(?)舞い降りたいところでしたけれど、明日か、下手をすれば明後日に持ち越しとなるかもしれません。明日は整形外科の受診日なので、普通に就寝したいのです。

 小説が同人雑誌の締め切りに間に合わないときは、エッセーを提出しようと考えていますが、それにパムク氏の作品の感想を容れたいので、なるべく読むようにしています。

 『わたしの名は紅』(和久井路子訳、藤原書店)は登場人物たちがそれぞれ自分を主張し始め、面白くなってきました。全員の独白で成り立った小説で、技術的にも大変だったろうと思います。下手をすれば、どの独白も同じ印象を与えてしまうでしょうから。

 殺害された細密画師で、すでに屍となった優美さん(というニックネームで呼ばれた)の独白で小説はスタートしました。当時の細密画師たちの置かれた状況が明らかとなってきて、主人公とおぼしき男女もくっきりと姿をあらわし、なかなか厚みのある世界となってきています。

 登場人物たちの行動、思考はどの一人をとっても単純ではなく、またどこかしら典雅な趣があって、酔わせます。細密画のように細密に描きこまれているのです。

 例えば、主人公カラが恋するシェキュレという美しい女性は、夫が戦争で行方知れずとなり、その夫の弟ハッサンとカラ(シェキュレの父はカラの義理の叔父にあたり、シェキュレの父はスルタンの命を受けて祝賀本を作成するために細密画師たちを統轄する存在です)に恋されているという設定なのですが、すでに夫とのあいだに子供も2人ある彼女の頭の中ではこんな考えが浮かんだりします。

 ある夜ハッサンに抱かれて彼と寝たとしても、誰も気がつかなかっただろう。アラーの神のほかには。その方が賢かったかしら。行方不明の夫と似ているし、同じようなものだ。時々こんな馬鹿げた妙な考えがわいてくる。

 一方では彼女はカラに純粋に惹かれてもいるのですが、これらゆれ動く気持ちが不自然ではなく、成熟したこの女性の置かれた生活上の苦境、選択と無関係ではないことがよく描きこまれています。

 彼女の2人ある子供たちも同じようには描かれていません。一途に母親を愛慕する6歳の男の子オルハンと、1つしか違わないのに、もう母親との距離を感じさせる上の子シャヴケトとは読んでいてずいぶん感触が異なります。

 母親シェキュレの悩みの中に、可愛いオルハンがたびたび入り込んできます。

 しばらくしてふと見ると、オルハンがわたしのそばに寝ていた。頭を乳房の間に入れると、泣きじゃくりながら涙を流している。強く引き寄せて抱きしめた。
 「泣かないで、お母ちゃん」と少しして言った。「お父ちゃんは帰ってくるよ。」
 「どうしてそれがわかるの?」
 黙っていた。でもとてもかわいかったので、乳房に押しつけた。いやな事を全て忘れた。

 この可愛いオルハンにしても、母親の喜びと悲しみは、この子の不安や幸福感と不可分な関係にあるがゆえに、絶えず母親の姿を求めさせずにはおかない一面のあることがよく描きこまれています。

 登場人物全てが、このような感情や思想が湧き起こる生活上の確かな背景を持っていて厚みをもって生かされており、そうした意味からいえば、誰一人として作者に尊重されていない人間はいません。いや、人間ばかりか屍、犬、金貨、色にいたるまでそうです。

 ところで、ここでお詫びですが、わたしの連載小説『あけぼの――邪馬台国物語』の更新が中断しており、申し訳ありません。同人雑誌提出の作品との関係でそうなっているだけでして、まだ当分は続きますので――

 更新するごとに訪れて読んでくださるかたがたには、感謝しています。今後もよろしくお願い致します。

 ※パムク氏の記事は多くて、右サイドバーのカテゴリーに「オルハン・パムク」の項目があります。クリックなさって、ご参照ください。 

|

« 昨日の夕飯(バルサミコ酢を使った鶏胸肉料理、小えびとブロッコリーの料理) | トップページ | 整形外科、欧風料理店(ロートレックに描かれたジャヌを想う)、パルコを梯子の一日 »

オルハン・パムク」カテゴリの記事

創作関連(賞応募、同人誌etc)」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

文学 №1(総合・研究) 」カテゴリの記事

文学 №2(自作関連)」カテゴリの記事