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2006年10月24日 (火)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第68回

 峠をくだり終えたわたしは谷底に下りて、流れで顔を洗いました。

 谷神不死、是謂玄牝之門、是天地根、綿綿若存、用之不動、
 谷の神は決して死なない。それは神秘な牝(ひん)と名づけられる。神秘な牝の入り口、そこが天と地の(動き)の根源である。それはほそぼそとつづいて、いつまでも残り、そこから(好きなだけ)汲(く)み出して尽き果てることがない。

 つぶやいた『老子』の中の言葉が、一掬いの谷川の水と共にわたしの体内に沁みわたりました。何て不思議な言葉なのでしょう。谷神、玄牝とは。谷川のせせらぎが、昔子宮の中で聴いたに違いない母の血液の流れる音に想われてくるのでした。

 谷の霊気は、みどりがかった白銀の尽きせぬシャワーとなって皮膚に降りそそぎます。

 明くる朝『老子』の言葉が書きつけられた木簡――テキスト――をひろげると、眼に痛かったバリケードのような黄色い光が消え、書は華(かがや)かしい純白の肌合いをあらわにしていました。

 書が放射している白い光を受けながら読むと、難解に思えた言葉が不思議とわかりやすく感じられたのです。〔

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