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2006年9月27日 (水)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第62回

 私塾の合間を縫って、わたしは昔通ったお師匠さんの処に再び通い始めました。

 お師匠さんはめっきり年を召されて、大儀そうに見えましたけれども、身綺麗にして両眼を閉じている姿は、さながら木彫りのお人形のようでした。

「あんたが舞姫じゃった頃、確か何回か演奏にヤマトに行ったが、生憎と眼開きじゃのうての」

 わたしは赤くなって「お師匠様のお眼が閉じておいででなかったら、琴もひどいが、舞もひどいの、とおっしゃいましたでしょう」とつぶやきました。

 お師匠さんは、そうか、と答えたきりでした。

 稽古が終った後、わたしはお師匠さんに、神殿で漢字を学んだこと、難しくて身についたとはとてもいえないこと、道教にはまがまがしく卑俗な面と神聖な面があるように思えること、などを綿々と打ち明けました。

 神殿では、仙薬の授業をはじめとして道教の知識を学ぶ正式な機会があったのとは別に、官女たちの中には大人階級、ときには下戸階級の人々との秘密の接触を通じて独自に道教の知識を仕入れている者たちがいました。

 吹聴されるそれらの知識の中には、女王が耳になさったら眉を顰められるに違いないと思われるような知識も混じっていて――それはまさに玉石混淆といっていい有様だったのです。〔

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