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2006年9月 7日 (木)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第51回

 絶望はわたしを白く変容させました。この変容を見越して、タルはあの封印されたものを託したのでしょうか……? かつて天真爛漫なおとめだったわたしは今は、女人の苦しみを知る22歳のおばさんでした。

 そして、この時のわたしは知る由もなかったのですけれども、みどりごが死んだ丁度その刻に、女王その方が倒れられ、重症に陥らせられたのでした。女王65歳の艱難でありました。

 近所に住むお年寄りが、動物の骨を焼き、その罅(ひび)割れで凶吉を占う骨卜(こつぼく)で、「不吉じゃ、不吉じゃ」と歯無しの口でもぐもぐ口走るのを見、叔母もわたしも薄気味悪く思っていたのですけれども、あの刻の恐ろしい空模様の事なども後になって考え合わせてみると、女王大難の前兆(さとし)であったとしか思えません。

 そんなことも知らず、わたしはお産と脚気で弱った体を寝床に埋めて、新穀祭の舞姫たちに思いをめぐらせていました。

 十年前の新穀祭より定例となった5人の舞姫たちによる奉納の舞は、今回もヨモギを舞姫頭として無事におさめられることでしょう、と心寂しく想像するのでした。〔〕 

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