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2006年9月 2日 (土)

あけぼの―邪馬台国物語―連載第47回

 類は友を呼ぶとか申しますが、ヨモギは諜報団ともいうべき、三度の飯よりも噂の方が好きなおとめたちのグループを形成していました。

 その中でも一番油断のならない、すなわち最も垢抜けした外見を持ち、最も頭脳明晰なおとめがヨモギでした。端麗という類似点から連想してしまうのかもしれませんが、彼女を見る時、わたしはふとそこにイサエガを見てしまうのです。

 イサエガにあって、彼女にないものがありました。哀感の漂う、謎めいたヒューマニズムがそうでした。そんなイサエガに恋をしかけていた、あの頃の哀れなわたしでした……!

「そんな風ではなかったわ。だって、お月様のお祭の夜も」
「今日明日どうこうってご病気ではないんじゃない。いわゆる慢性病なのよ。次第に衰弱してゆく、蛇の生殺しのようなご病気……。お可哀想よねえ」

 お可哀想よねえ、とささやいた甘ったるい声と、きらきら輝くヨモギの眼がわたしにはいたたまれず、ヨモギをうっちゃって、宮殿から抜け出し、遁走しました。

 月読みの授業をさぼったわたしは、猿のように柿木に登って、そこで秋の実りをたらふく頬張りました。柿の木のなかにいると、里にいるようでした。〔

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