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2006年7月17日 (月)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第32回

 皆が謁見室を出、まさに謁見が終ろうとする時になって、わたしは女王にお伺いしました。

「女王様、人が死ねば、荒魂と和魂に分かれて、荒魂はお墓にとどまり、和魂は天に昇ると聞きました。和魂になると、ふわふわの雲のように、全体とひとつになってしまうというのは本当ですか。そして、わたしはどうして女王様のお側に来ることができたのでしょうか」

 女王は手応えを得て喜んだ人のように、輝かしいまでの鋭敏さで、とくとわたしをお見つめになりました。

「ここで暮らしていれば、いずれ、そうした問題に関する教えも得られることと思いますよ。わたくしどもにはわたくしどもの祖先から継承した、宗教上の教えがありますでしょう。

 これは本当に大事にしなければなりませんが、この教えをより解するためには、他の教えの光をあててみることも必要ですね。様々の教えに触れてみた時、どの教えをよりすばらしいと思うかは、あなたのご自由だと思いますよ。

 野の花にはそれぞれの美しさがありますが、どの花に惹かれるかは、その人の個性です。ですが、様々な表現形式をとろうとも、花が花らしさを備えているという点から見れば、花というものは一つなのです。

 その一つのものを感じとる力が大事ですが、そのためにはわたくしどもは、きよらかな者とならなければなりません」

 女王は、真摯に楽しげに語り、軽くうなずくようにしてみせました。〔

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