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2006年7月 9日 (日)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第27回

『父は殺された。残酷なおとめよ、そういわせたかったのか』

 わたしは眼をぱちくりさせ、まさか、と答えました。この人は何という難儀をした人なのでしょう、とむしろ呆れた思いで――

『少年のわたしには、その時の渡航が失敗することが、あらかじめ、鮮明にわかっていた。そなたと同じ、霊感の持ち主であるわたしには――』と甘美にささやき、わたしの耳に凍る息を吹き込んで、わたしを抱き締めにかかったイサエガ……!

『女王律の全ては女王の属性さながらだ。女王は多くの知識を集める。真珠や翡翠を集めるように。そうした宝玉の輝かしさで民の眼をくらまし、民の上に君臨なされて久しい。

 最高の家柄に生まれ育った女王に、下戸の気持ちはわかるまいな』

 息をつめたわたしは、それを彼の不幸の深さと思おうとしたのでした。〔

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