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2006年7月 5日 (水)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第23回

「本当に良質の銅が採れますな、あの山は。いやはや、日月そっくりの白銅の鏡でも何でも持って来いの、あの山は頼もしい。後漢鏡を入手しにくくなってからというもの、副葬に用いるにも事欠く有り様で、鏡を砕き、その欠片を一族で分け合って用いている地域すらありますからな」

 と野太い声がしたのは、女王の弟君です。繁茂した眉、ぎょろりとした眼、大きな体……見かけとは異なるやさしいお人柄で、物事を綿密にこなしてゆく、よく目配りのゆき届く方でした。

 王権は、祭事(まつりごと)を司る権限と政事(まつりごと)を司る権限とが表裏一体となって構成されていました。

 具体的には、神霊にお仕えになる祭司者たる女王と、国政を執行なさる弟君との協力体制でヤマトのクニは機能していて、それにはお二方の阿吽の呼吸が不可欠でした。

 また女王は、ヤマトのクニ最高の祭司者というだけでなく、女王連合国最高の祭司者でもありました。

 血を分けた姉弟であるお二方は、プライベートでもほのぼのとしたご姉弟であるご様子が、それとなく窺えたものでした。〔

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