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2006年7月 2日 (日)

「あけぼの―邪馬台国物語―」連載第20回

 よくはどころか、まるで訳がわからず、「あなたは何なの?」と馬鹿な質問をしてしまうと、

「僕の名はタル。僕は女王様の高床倉庫なんです。倉庫の中には、ひと粒、ひと粒が、赤く光っていて、しかも太っちょの種籾(※3が、それはもう沢山納まっているんですよ」と、男の子は誇らしげにいい終え、鼻をひくつかせて、わたしにうなずいてみせました。

 一瞬、男の子をダイナミックに取り巻くきらきらと光る緑色の太い輪が見え、その内側はほとんど透明といってよい澄明な黄色であるのが見えました。

 また、その生き生きとした風貌や、機敏な答え方は、如何にも賢そうでしたが、わたしには男の子のいうことが何ひとつ理解できず、この子が変か、わたしが変か、どちらかでしょう、と思ったのでした。

「お加減がいいのなら、まいりましょう。あなたが起きられるようだったら、連れて来るようにいわれているんです」〔

 
   
3 縄文時代に初めて日本に伝播した米はジャポニカ種(短粒)の赤米だったといわれ、邪馬台国時代や大和朝廷時代の献上米は主にこの赤米だったと考えられている。  

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